2014 Fiscal Year Annual Research Report
走化性情報システムの理解を目指した細胞極性、運動の分子機構の解明
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24570224
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上村 陽一郎 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (20321599)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 走化性 / 細胞極性 / 細胞運動 / TorC2 / PKB / Ras |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、走化性における細胞極性形成と細胞運動の分子機構について細胞性粘菌のTorC2-PDK-PKB(以下、TPP)モジュールを中心として明らかにしようとするものである。そこで、当該年度では以下の研究を実施した。走化性物質刺激による一過的な細胞の応答は適応反応とよばれ、細胞極性の形成と深く関わりをもつと考えられている。TPPモジュールは低分子量Gタンパク質RasCにより制御されており、この因子が適応反応を示す。そこで、すでに確立したRasCの大量精製系を用いて、RasC結合ビーズを作製した。これを用いて細胞性粘菌の抽出液からGDPあるいはGTPに依存して結合する因子を探索した。その結果、RasC依存的に結合する因子を複数見いだしたが、GDPあるいはGTP依存性をもつものは見いだされなかった。RasCのグアニンヌクレオチド交換因子であるAleA複合体はGDP結合型RasCに結合が予想されるが、このような結合も検出されなかった。これらの事実は、RasCとそれらの制御因子、あるいはエフェクターとの結合が非常に弱いことを示唆している。RasC、AleA、TorC2の細胞内局在の観察結果も上記の結果を指示している。つまり、TPP経路の活性化における非常に早い反応が、10秒以内に終了する一過的な適応反応の基盤にあることが考えられた。更に、本研究を実施中に、TPPモジュールの上流にある三量体Gタンパク質と相互作用する新規の因子を発見した。この因子の破壊株では、細胞極性の形成に弱く異常をきたしており、細胞運動の効率が低下していた。この因子が三量体Gタンパク質を介してTPPモジュールの活性制御に関与していることが示唆された。
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