2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24570262
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
恒次 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 構造利用研究領域, 主任研究員 (00360397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近赤外分光分析法 / 脳血液動態 / 心拍数 / 心拍変動性 / 嗅覚刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では様々なにおいに対する乳児の反応についてデータを蓄積するとともに経時的な反応の変化を明らかにすることを目的とした。最終年度には繰り返し測定データの蓄積のため、7名の被験者に対して1週間間隔で2~5回、のべ17回の繰り返し測定を行った。 実験では生後1~3ヶ月の乳児に樹木のにおい成分であるα-ピネンならびにリモネン、対照として空気のにおいを2分間呈示した際の、脳血液動態、心拍数、心拍変動性、唾液アミラーゼ活性を測定した。におい呈示の前後2分間はにおいのない状態で安静とし、この間もにおい呈示中と同様の測定を行った。研究期間全体では計64名を対象とした。1回めの測定において、α-ピネン、リモネンのにおい呈示により脳活動が上昇した。一方対照でも脳活動が上昇したが、においのある場合には呈示終了後に脳活動が低下したのに対し、対照では高い状態が続いた。対照では不安感などのストレスにより活動が高い状態が続いたのではないかと推測される。心拍数はα-ピネンで有意に低下し、リモネン、対照では変化が認められなかった。また心拍変動性解析、唾液アミラーゼ活性については差が認められなかった。安静時の心拍数は繰り返し回数が増えるにつれて有意に低下した。これは成長による自然な心拍数の低下であると推測されるが、現時点では明確な解釈は難しい。 本研究の意義は、においに対する経験や思い込みがほとんどないと推測される乳児を対象に、植物由来のにおい呈示による応答を各種生理指標を用いて多面的に測定する手法を確立し、データ取得に成功した点にある。またこれにより針葉樹の主なにおい成分であるα-ピネンが心拍数を有意に低下させることを明らかにしたが、これは新規的な成果であり意義が高い。本研究で確立した実験手法は今後も乳児を対象とした様々な測定に応用することが可能であり重要性も高いと考える。
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Research Products
(2 results)