2014 Fiscal Year Annual Research Report
低アレルゲン小麦作出を目指したコムギ種子貯蔵タンパク質遺伝子の網羅的解析
Project/Area Number |
24580011
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川浦 香奈子 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 准教授 (60381935)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パンコムギ / 種子貯蔵タンパク質 / グリアジン / 小麦アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
パンコムギの種子貯蔵タンパク質は、グルテンを構成するために小麦粉の加工適性を決定する要因である。一方で、一部の種子貯蔵タンパク質は小麦アレルギーの原因となる。パンコムギの種子貯蔵タンパク質は主にグルテニンとグリアジンからなり、グルテニンは高分子サブユニット(HMW-GS)と低分子サブユニット(LMW-GS)、グリアジンはα/β、γ、ω、δに分類される。それぞれをコードする遺伝子は多重遺伝子族で高度に重複しており、ゲノム中に数10から100以上のコピーが存在すると推定されている。本研究では、小麦アレルギーの原因となることが知られているエピトープ特異的ペプチド抗体を作製し、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)・コムギによって選出された多様性に富むコムギの多型パネル系統169系統および農業生物資源研究所(NIAS)ジーンバンクのパンコムギコアセット96系統の完熟種子から抽出したタンパク質に対してウエスタンブロット解析を行い、各系統の抗原抗体反応性を評価した。また、パンコムギ標準実験系統であるChinese Spring(CS)の染色体異数体系統の種子から抽出したグリアジンタンパク質を二次元電気泳動により分離して網羅的に比較解析を行った。その結果、グリアジンタンパク質を70分子に分離することができ、各グリアジンをコードする遺伝子が座乗する染色体を同定した。さらに、染色体異数体系統の種子貯蔵タンパク質の二次元電気泳動およびウェスタンブロット解析の結果から、特定の染色体にアレルギーの原因となるエピトープを持つグリアジンタンパク質を特異的に抑制する因子が存在することを見出した。
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