2012 Fiscal Year Research-status Report
国産園芸植物をモデルとした系統地理学的研究に基づいた「系統植栽管理法」の構築
Project/Area Number |
24580039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡辺 均 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (80301092)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 系統評価 |
Research Abstract |
人為的な開発行為などにより、野生植物遺伝資源の撹乱とその多様性の維持が非常に難しくなって来ている。本研究は環境省の絶滅危惧II類である西九州に自生するダンギクについて、表現型および遺伝子調査により遺伝資源としての多様性の成立要因の解明およびその評価を目的として研究を進めた。 109自生群落の収集および生育調査を行い、各自生地で異なる表現型変異を確認した。また、自生地の異なる8群落の実生株を用いて結実率調査を行ったところ、ダンギクは部分他殖の繁殖戦略を行っていることが明らかになった。さらに、周辺群落との距離が遠く、花粉交流の頻度が低いと考えられる群落では、低い自家受粉の結実率を示した。特に鹿児島県甑島列島の群落では、結実率と表現型との関連性も示唆された。 DNAシークエンス解析の結果、西九州自生群落間の変異が小さいことから、比較的近い年代にダンギクの分布形成が起きたことが示された。長崎県対馬および長崎本土の群落においては、複数の塩基置換によるハプロタイプが示された。このことから、西九州に自生するダンギク群落は複雑な分布形成によって成立していることが推察されたが、表現型変異との関連がみられなかったことから、各自生環境に適応した結果、その後に特徴的な表現型に分化したものと考えられた。また、遺伝子解析により対馬島内において人為的な遺伝子浸透と考えられる数群落を抽出したことから、ダンギク自生群落の系統評価および保護を目的としたマーカーとして活用できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調整が困難と思われたDNA抽出法が比較的スムーズに完了し、PCR法、ダイレクトシークエンスまで予定どおり進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①長崎県、鹿児島県を中心とするダンギクの分布地図の作成を行う。 ②PCR解析を前年度に引き続き進めると同時に平成24年度に見つかった変異については、基準地および準基準地の個体のダイレクトシークエンスを行なう。さらに葉緑体DNA 領域を増やして塩基配列を読む。 ③全地点のダイレクトシークエンスを終えた場合については、PCR-RFLPマーカーの開発を行う。 ④分子マーカーにより、試験的にマーカーを用いてハプロタイプの鑑定を行う。 ⑤非常に大きな変異があって、複数のハプロタイプの分岐年代の推定ができそうな場合については、外群としての近縁属植物に対して同様に塩基配列を調べ、ハプロタイプの分岐年代を計算する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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