2014 Fiscal Year Annual Research Report
結晶性キチン分解における芳香族アミノ酸残基の機能解明とα-キチン分解機構への展開
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24580104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邉 剛志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10201203)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キチナーゼ / 結晶性キチン分解 / 高速原子間力顕微鏡 / Serratia marcescens / 芳香族アミノ酸残基 |
Outline of Annual Research Achievements |
キチナーゼ高生産菌であるSerratia marcescens 2170は、3種類のキチナーゼChiA、ChiB、ChiCと、キチン結合蛋白質CBP21を培地中に分泌する。これらの中で、ChiAとChiBは結晶性キチン分解能が高いプロセッシブなキチナーゼである。本研究では、ChiAを用いて結晶性キチン分解における触媒クレフト内部の芳香族アミノ酸残基の機能を、ChiBを用いて分子表面の芳香族アミノ酸残基の機能を解明することを試みた。 ChiAのマイナス側サブサイトに存在するW167 をTyrに置換し、その影響を生化学的手法と高速原子間力顕微鏡により解析した。その結果、W167Yは野生型ChiAとキチン結合活性はほぼ同等であったが、分解活性が顕著に低下した。このことから、W167は結晶性キチンの分解には重要であるが、キチンへの結合には重要でないことが分かった。また、W167Yも高結晶性β-キチン微小繊維をプロセッシブに分解移動する様子が捉えられたが、短時間で解離し、移動距離も短かった。このことから、W167は結晶性キチンの分解において、キチン鎖を触媒部位にむかってスライドさせる上で重要な役割を果たしている残基であることが強く示唆された。 一方、ChiBの分子表面には、Y481、W479、W252、Y240の4つの芳香族アミノ酸残基が触媒クレフトにむかって直線上に並んでいる。これらのアミノ酸残基のYを Wに変異させ、その影響を分析した。その結果、W変異体は野生型より高い結合活性を示し、Y481W変異がプロセッシブな分解に有意な影響を与えなかったのに対し、Y240W変異は分解速度を低下させた。これらの結果から、Y481残基は基質への結合に寄与し、Y240残基は基質への結合に加えてキチン鎖を触媒クレフト内部へ導きいれる役割担っていると考えられた。
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