2013 Fiscal Year Research-status Report
白麹菌の高クエン酸生産機構解明と有機酸高生産株の育種
Project/Area Number |
24580116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 正利 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90274521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二神 泰基 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (60512027)
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Keywords | 応用微生物学 / ゲノム / マイクロアレイ解析 / Aspergillus / 麹菌 / 有機酸発酵 |
Research Abstract |
本研究では、白麹菌 Aspergillus kawachii を特徴づけている性質の一つであるクエン酸高生産機構の解明を目指す。また、得られた情報を活用してイタコン酸を高生産する白麹菌の育種を試みる。本年度は以下の成果を得た。 1.白麹菌のクエン酸高生産関連遺伝子の破壊株の構築と破壊株の評価. 白麹菌のクエン酸高生産に影響を及ぼす遺伝子として,ミトコンドリア局在の推定トランスポーター(TP)をコードする11遺伝子,細胞膜局在の推定TPをコードする4遺伝子,TCA回路中の代謝酵素をコードする6遺伝子,推定転写制御因子をコードする8遺伝子,機能未知の3遺伝子,および解糖系酵素の1遺伝子,合計33遺伝子を選抜した。これらのうち,20種の遺伝子の破壊株を構築した。破壊株と野生株の生産する有機酸量と比較することで,クエン酸高生産,あるいは他の有機酸生産に影響を及ぼす遺伝子をスクリーニングした。その結果、細胞膜局在アニオンTP(2種),推定ミトコンドリア膜局在アミノ酸TP,そして推定ミトコンドリア膜局在アデニンヌクレオチドTPをコードする遺伝子の破壊株において,クエン酸の生産量が野生株に比べ 2 倍以上増加した。一方,リンゴ酸脱水素酵素遺伝子の破壊によって,クエン酸生産量が著しく減少した。 2.イタコン酸生産菌のイタコン酸合成遺伝子の同定. イタコン酸生産菌として我が国で最初に分離された A. itaconicus NBRC 4336株のゲノム DNA 情報を取得した。得られたドラフトゲノム情報から、A .terreus の cadA (ATEG_09971)と相同性を示す配列を探索した。その結果、2つの遺伝子AicadA1 (68% identity)、AicadA2 (45% identity) を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、白麹菌と黄麹菌の比較ゲノム解析及びマイクロアレイ解析によって最終的に33種の遺伝子破壊ターゲットを決定することができた。そのうち20遺伝子の破壊株の構築に成功し、クエン酸の生産に影響を与える遺伝子を見いだすことができた。同時並行して行ったイタコン酸生産菌のイタコン酸合成に関与するcis-aconitate decarboxylase をコードする2つの遺伝子を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.白麹菌TP遺伝子破壊株の構築と有機酸生産量の測定. 33種の遺伝子破壊ターゲットのうち、残り13種の遺伝子破壊株を構築する。白麹菌のクエン酸生産に影響を及ぼす遺伝子をスクリーニングするために、これらの菌株の有機酸生産量を調べる。ほとんどの遺伝子の機能は推定レベルであるので、実際の遺伝子機能を明らかにする。 2.白麹菌でのイタコン酸生産. 白麹菌でイタコン酸を生産させるため、Aspergillus itaconicus の2種の cis-aconitate decarboxylase をコードする遺伝子をそれぞれ構成的に発現するgpdAプロモーター下流に挿入して、白麹菌に導入する。AicadA 導入白麹菌でのイタコン酸の生産量を測定する。2つのAiCadAについてcis-aconitate decarboxylase活性を示す遺伝子を同定する。 (次年度の研究費の使用計画) 有機酸分析に必要な HPLCカラム等を物品費として使用する予定である。また、研究成果を国内及び国際学会で発表する際の旅費と、論文投稿料としてその他の経費を計上した。
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[Journal Article] Construction of a ligD disruptant for efficient gene targeting in white koji mold, Aspergillus kawachii.2013
Author(s)
Tashiro S, Futagami T, Wada S, Kajiwara Y, Takashita H, Omori T, Takahashi T, Yamada O, Takegawa K, Goto M.
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Journal Title
Journal of General and Applied Microbiology
Volume: 59
Pages: 597-560
DOI
Peer Reviewed
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