2012 Fiscal Year Research-status Report
ミリスチル化を介した蛋白質間相互作用解析とその生理機能の解明
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24580150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
松原 守 京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (90288481)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミリスチル化 / 脂質修飾 / シグナル伝達 / リン酸化 / 転写抑制因子 / 蛋白質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、ミリスチル化による蛋白質間相互作用の普遍性と、その細胞内シグナル伝達系における生理的な役割を明らかにするために、本年度はNAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質の同定、細胞内における蛋白質間相互作用と局在の検証およびその相互作用の生理的役割の解明に重点をおいた。 その結果、新たに核内蛋白質であるNONOやHDAC-1などを見出した。 次に、これまで申請者によって得れられているミリスチル化依存的にNAP-22と結合する蛋白質であるDDX5、YTHD3、HMGB1を取り上げ、これらの蛋白質がNAP-22と直越結合するかどうかを検証した。そのために、これらのGST融合タンパク質を発現させるとともに精製も試みた。3つのタンパク質のうちGST-DDX5とGST-YTHD3については大腸菌による発現が確かめられ、その後のグルタチオンカラムによりそれぞれの精製タンパク質を得ることができた。一方、GST-HMGB1については発現は確かめられたが、精製度は非常に低かったので、現在最適な条件の検討を行っている。 哺乳類動物細胞内でのNAP-22との共局在を確かめるために、NAP-22のC末端に蛍光タンパク質であるGFPを融合させた発現プラスミドを構築した。実際にHEK293細胞に遺伝子を導入したところNAP-22-GFPの発現を確認した。DDX5、YTHD3、HMGB1についてはHaloTag融合タンパク質として発現プラスミドを構築し、HEK293細胞にそれぞれ遺伝子を導入し、それぞれの蛋白質の発現を確認した。 これらの結果の一部は、第85回日本生化学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学での教育面にとられる時間は多いものの、経験ある実験補助員を雇い蛋白質発現用のプラスミドの構築を行ってもらったので順調に進展することができた。 特にNAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質の同定に関しては、研究計画に書いたどおり、新たに結合蛋白質を同定することができた。一方、その同定した一つは、最近別のグループによってリン脂質依存的にも結合することが示され、我々の結果と多少異なるので、その検証が必要となる。 ミリスチル化されたNAP-22との相互作用を検証する実験のために目的の結合蛋白質の大腸菌用と哺乳類動物細胞用の発現プラスミドのサブクローニングを行い、発現や精製をほぼ予定通り達成した。条件検討が必要なものが一種類あったので今後最適化する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、NAP-22と結合蛋白質との相互作用の生理機能の解明を目指すべく、平成24年度で得られた融合蛋白質を用い、ミリスチル化NAP-22と直接結合するかどうかを検証する。また、HEK293細胞においてNAP-22-GFPとHaloTag融合蛋白質にしたぞれぞれの結合蛋白質との局在を蛍光免疫染色法により検証する。 生理的意味の検証のために、核内で機能するDDX5、YTHD3、HMGB1を取り上げ、これらの蛋白質のミリスチル化依存的なNAP-22との結合が転写因子であるMycやWT1との相互作用に影響を及ぼすのかを解析する。 また、NAP-22が核内で働くという現象に対しても、その答えを出すために、NAP-22の核局在化シグナルの役割について検証する。特に核移行受容体であるインポーチンとの結合について明らかにする。 直接の結合が明らかになった蛋白質については、両者の複合体の構造解析を行うべく、両蛋白質が結合する最小のドメインを同定する。その後結晶化条件をスクリーニングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては、細胞内における局在をみる実験のため、細胞培養試薬や関連器具、免疫染色関連試薬などの消耗品費が多くなると予想している。 また、大阪大学、京都大学、理化学研究所などで実験打ち合わせおよび実験装置を使用するので、研究打ち合わせ費用も前年度よりは多くなる予定である。 成果発表のために国内外での学会参加も増えることから、旅費についても前年度よりも多くなると思われる。 研究の進展具合によっては、実験補助員を雇うことも考えており、その場合は人件費を使用することになるが、前年度実績以下になる予定である。
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Research Products
(2 results)