2013 Fiscal Year Research-status Report
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24580222
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保田 哲也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40243381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 慶規 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10615446)
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Keywords | 森林斜面 / 崩壊 / 地震 / 山地災害 / 国際研究者交流(メキシコ) / 国際研究者交流(ネパール) / 国際研究者交流(インドネシア) |
Research Abstract |
地震後の強雨による崩壊発生に対する地震動の影響を調査するために、まず①国内外の森林斜面における崩壊地現地調査の継続するとともに、新たな地形・地質解析・土質試験を行った。特に、本年は、熊本県阿蘇火山斜面の他、研究の国際的展開を考え、山地での強い地震が予想されるネパールのカトマンズ周辺山地、メキシコ・東シエラマドレ山地、インドネシア・中部ジャワの火山などを訪れ現地調査と土質試験を行った。また、②地震により生じた森林斜面の亀裂や緩みの実態・規模を継続的に把握し、③森林根系の斜面安定への影響を見る観点から、根系強度データを用いた森林の影響を解析し、④地震後の実際の発生降雨のみならず、地域の気象データから得た雨量増加率から気候変動による降雨量増加を数値シュミレーション・降雨浸透解析(有限要素法:FEM)に適用することにより、一部、森林の影響、地震の影響、気候変動の影響の比較研究を行った。昨年度に引き続き、森林斜面土層の撹乱サンプルを収集し、それらを実験用に再度締め固めて人工的な地震動を加え、振動を加える前後の強度を比較したが、⑤せん断面に根を混入し、根系の有無の効果を確認した。同時に、⑥土の種類を片岩風化土、花崗岩風化土、火山性のクロボク土と3種類に増加させて試験を行った。つまり、地震前後の土質強度の増減を、土質の違いと根系の有無を勘案して調べた。 今年度の研究の結果は、海外での事例も含めて、降雨増加の影響は地震動による影響よりも小さいこと、土質強度は根の有無に関わらず地震動により減少する場合と増加する場合があり、その増減は含水量や土の種類に依存する可能性が分かった。 今年度の研究成果は、昨年の成果と同様に、以後の災害対策関連研究の展開に向けた研究方法の検証の観点からも有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、森林斜面安定に関する現地調査が進んだこと、土質実験や根系強度試験および数値解析が予想以上に順調に行うことができたなどの理由により、概ね順調に研究を進展できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、地震時の森林の斜面安定への影響と地震後の強雨に対する斜面安定への森林の寄与、および地震動の地震後の斜面安定に及ぼす影響を研究する目的で、これまでの研究を参考に、新たな土質サンプルを用いた土質試験を進めるとともに、森林根系のサンプルを収集し根系の強度試験を進める。それらの結果を用いて、FEMなどによる斜面安定解析(数値解析)を用いて、斜面安定への地震動の影響や森林の影響、気候変動に伴う降雨増加の影響を引き続き解析して行くとともに、成果を考察・総括し、報告書を作成する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究補助(アルバイト)の人件費が、研究補助依頼予定者と日程の都合が合わず、また代理も見つからなかったために、支出できなかった。 昨年度に引き続き、土質試験用の現地サンプルを採集するサンプラー円筒(単価4000円程度)の追加購入や最終年度のために報告書印刷費に当てる。
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Research Products
(7 results)