2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24580222
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保田 哲也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40243381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 慶規 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10615446)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 森林 / 地震 / 斜面安定 / 崩壊 / 根系 / 土質強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
強い地震後の強雨による崩壊発生に対する地震動と森林の影響を調査するために、地震の発生した現地の地質・地形・土質調査などを行い、①地震により生じた森林斜面の亀裂や緩みの実態・規模を把握し、②地震後の斜面の緩みや亀裂がその後の降雨時に斜面安定へ及ぼす影響をFEM有限要素法を用いて明らかとした。同時に、③地震後の実際の発生降雨のみならず、気候変動による降雨量増加の影響を見るために地域の気象データからその増加率を研究し、上記の降雨浸透解析に適用することで、地震の影響と気候変動の影響の比較研究をさらに行った。④森林根系の斜面安定への影響を見る観点から、根系強度データを用いた森林の影響を追加で解析した。⑤森林斜面土層の撹サンプルを収集し、それらを実験用に再度締め固めて人工的に地震動を加え、振動を加える前後の強度を比較した。つまり、地震前後の土質強度の増減を調べた。その際に根系の有無も考慮した。⑥地震後の警戒避難基準雨量の引き上げと解除の実態と実際の引き上げ量について調査を行った。⑦さらに、研究の国際的展開を考え、山地での地震が予想されるインドネシア、ネパール、メキシコの研究者を招聘して、森林が地震時の山地崩壊発生に及ぼす影響について研究会を開催した。 これら研究の結果、地震による亀裂などは(森林の根系の補強効果が有効な)表層崩壊に関しては斜面安定化(発生)への影響を有するが、深い崩壊(深さおおよそ3m以上)には影響を与えない結果が得られた他、降雨増加の影響は地震動による影響よりも小さいこと、土質強度は根の有無に関わらず振動により減少する場合と増加する場合があり、その増減は含水量や土質に依存すること、地震後の災害発生雨量は最大90%低下が5年間継続する場合もあるが、防災実務上は最大50%の低下を数年しか見込まれていないことが分かった。この成果は、今後の災害対策に重要かつ有意義と考える。
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Research Products
(6 results)