2013 Fiscal Year Research-status Report
攪乱地の植生回復に貢献するハンノキ属樹種の窒素固定能力の樹種内・樹種間変動の解明
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24580230
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
飛田 博順 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 主任研究員 (10353781)
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Keywords | 共生的生物窒素固定 / ハンノキ属樹種 / フランキア / 安定同位体比 / ミヤマハンノキ / ヤハズハンノキ / ケヤマハンノキ / 標高 |
Research Abstract |
ハンノキ属樹種は放線菌のフランキアと根で共生し大気中の窒素を利用する窒素固定能力を持つ。この課題では、1984年に発生した木曽御岳山の泥流跡地に更新したハンノキ属数樹種について、窒素固定能力の樹種間の違い、同一樹種内の立地間の違いを明らかにすることを目的とする。昨年度調査を実施した、標高2000 mの高標高区の2カ所(表土ありと無し)と標高1100 mの低標高区に加えて、標高1600 mの中標高区でも調査を行った。対象調査区において、ハンノキ属樹種と窒素固定能を持たない樹種(コントロール樹種)が同所的に生育している場所を数地点選定し、葉の成熟後の8月に、ハンノキ属樹種とコントロール樹種の樹冠葉を採取し、乾燥・粉砕させた。前年度の結果では、高標高区において、ハンノキ属樹種の窒素吸収量に対する窒素固定の寄与率が、同じ標高の樹種間で差がないことが示された。今回のサンプリングでは、高標高区のサンプル数を増やしたことに加えて、中標高区の葉のサンプリングを実施したため、同一樹種内の標高間の比較が可能となる。今後、今年度のサンプルについて窒素安定同位体比を測定する予定である。 今年度は、これまでに得られた結果を、森林講座で公表するとともに(2013年12月6日・多摩森林科学園)、国際学会において口頭発表により公表した(2013年10月18日・宮崎県・国際窒素固定会議)。また、関連する成果を、インドでの国際会議においてポスター発表し、その内容を国際誌にて公表した(2013年4月10日・インド・シロン北東ヒル大学・第17回フランキア共生窒素固定植物に関する国際会議:Journal of Biosciences 38(4):761-776)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査、サンプルの分析・解析ともに順調に進展しており、得られた成果の公表も順次行っていることから、(2)おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き、成長期間に、ハンノキ属樹種とコントロール樹種の葉をサンプリングし、現有の質量分析器を用いて、窒素安定同位体比の分析を行う。得られた結果を取りまとめ、ハンノキ属樹種の窒素吸収量に対する窒素固定の寄与率が、樹種間で異なるのか、樹種内で標高により変化するのかを明らかにし、成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費の効率的な執行が可能となり旅費相当分の予算を翌年度に繰り越すことができた。また、サンプルの一部の分析実施を翌年度に変更したことにより、消耗品相当分の予算を翌年度に繰り越すことができた。 平成26年度に繰り越す額を加えた研究費を使用する。物品費では、ガス類や薬品類の消耗品で、繰越金の一部を合わせた100万円を使用する予定である。前年度のサンプルも含めて分析するサンプル数を当初予定より多くする予定である。旅費では、調査地までの出張旅費と成果発表の出張旅費で、繰越金の一部を合わせた40万円使用する予定である。人件費・謝金では、4ヶ月分の実験補助で36万円使用予定である。その他で、5万円と繰越金の残額を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)