2014 Fiscal Year Annual Research Report
タケノコメバルの放流が及ぼす遺伝的影響評価と多様性保全の為の精子凍結保存法の確立
Project/Area Number |
24580278
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
富永 修 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (90264689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 大輔 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (20295538)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タケノコメバル / 遺伝的多様性 / 胎生魚 / 人工種苗放流 / 精子凍結保存 / 人工授精 / 精子バンク / 瀬戸内海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本実験の目的は、凍結精子の有用性を検証することである。現在凍結精子を用いた人工授精で仔魚を得ることに成功したが、奇形率が高いなど問題点が残されている。これらの実験の中で、キーポイントが精子の賦活条件であることがこれまでの試験で明らかになった。そこで、最終年の実験は冷凍尿と浸透圧を調整した一価の陽イオンを5種、2価の陽イオン塩化物を5種類用いて、凍結精子による精子活性化実験を実施した。ネガティブコントロールとしてTEAとTMAをポジティブコントロールとして8個体のタケノコメバル尿を用いた。 原子吸光光度計で測定した8個体のタケノコメバル尿のNaイオン、Kイオン、CaイオンおよびMgイオンの平均濃度は、それぞれ123.8mM 、2.57mM、1.93mMおよび35.6mMであった。6種類の凍結精子を用いて活性を測定したところ特定の尿で活性が高かった。6種類の凍結精子に対してほとんど精子活性を起こさなかった尿は、Kイオン濃度が低かった(2.03mM)。一方、どの精子に対しても活性が高かった2種の尿は他の尿に比べて明らかにCaイオン濃度が高かった(3.22mMと2.15mM)。活性の高い精子を用いて各陽イオンの活性を比較したところ、2価の陽イオンで高い活性を示した。精子によりばらつきがみられたものの、Baイオンのみで作成した溶液での活性が高くなる傾向がみられた。精子賦活剤の作成を試みた結果2価の陽イオンだけでも十分に受精する活性を得ることができた。一方、尿の方が活性は高く1年間凍結保存した尿でも十分な活性を与えることが可能であった。 上述した結果を参考に11月末に凍結精子を用いて人工授精を行ったが、雌の成熟が進み、人工授精を成功することができなかった。11月上旬までに人工授精を行う必要がある。
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