2013 Fiscal Year Research-status Report
褐藻糖化海洋酵母の創出による効率的バイオエタノール生産
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24580299
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
浦野 直人 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (90262336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 正文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
石田 真巳 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (80223006)
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Keywords | 褐藻 / 糖化酵素 / ラミナラン / フコイダン / 海洋酵母 / 並行複発酵 |
Research Abstract |
本研究は海洋低温菌の糖化酵素遺伝子を海洋酵母へ導入し褐藻原料から効率的バイオエタノール生産を行うことを目的とする。平成25年度の研究成果は①、②、③、④である。 ①相模湾由来のラミナラン資化細菌Pseudoalteromonas haloplannktis LA株から分泌型ラミナラン分解酵素Lamを精製した。Lamのアミノ酸配列を決定したところ、N-末端から1-25位にシグナルペプチド、37-337位に活性部位(約34.0 kDa)、下流の338-480位(X1)、481-655位(X2)、656-827位(X3)、828-886位(X4)は類似アミノ酸配列を保持する特異的な酵素であることがわかった。C-末端を解析している。 ②Lamの活性部位塩基に精製簡便化のためのHisタグ等を付与し、酵母Pichia pastoris発現ベクターpPIZαと結合して、Pichia宿主でクローニングした。形質転換したPichiaを培養すると、培養上層液に予想した37 kDaよりも大きい44 kDaのタンパク質を分泌していた。 ③褐藻原料を並行複発酵するために、糖化酵素を酵母Saccharomyces cerevisiae表層結合・発現させるためのベクターを作成した。インテグレーションベクターPGK40xにPromoter+Signal peptides+Tag+Lam+Inker+Anchor proteinを導入して、酵母での発現を検討している。 ④モズク加工廃水・湘南海岸・房総半島海岸から、フコイダン含有培地上に海洋細菌741株を単離した。全細菌中からフコイダン分解活性を持つ細菌2株を単離した。これらはCellulophaga lytica, Halomonas sp.であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①ラミナラン資化細菌の単離・同定、ラミナラン分解酵素Lamの精製・アミノ酸配列決定を行い、本酵素がX1~X4の繰り返しアミノ酸を持つ酵素であることが判明した。ところがC-末端配列の決定が困難で、この実験に時間を費やして、解析している。 ②Lamの活性部位を大腸菌宿主でクローニングし、形質転換した大腸菌を培養したところ、培養上層液の発現タンパク質を電気泳動にて確認することができなかった。また大腸菌抽出液および培養上層液にラミナランン分解活性を見出すことができなかった。cDNAの塩基配列の再チェック、より活性の高いプロモーターの接続などで対応を検討したが、いずれの実験も不成功であり、この実験に時間を費やした。酵素タンパク質が大腸菌内で正しくフォールディングできていない可能性が高いと考えられたため、Lam活性部位をPichia宿主でクローニングしたところ、培養上層液にタンパク質の発現を確認することができた。 ④24年度にスクリーニングしたフコイダン分解菌は高活性を持つ株の単離ができず、この実験に時間を費やした。25年度の新たなフコイダン分解菌を単離・同定して対応した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は褐藻多糖を単糖化する酵素系遺伝子を酵母でクローニングして、多糖を並行複発酵(糖化同時発酵)する酵母を育種することを目的とする。平成26年度は、下記①、②、③、④、⑤の研究を行う。①海洋低温菌Pseudoalteromonas haloplannktis LA株が持つLam(最適温度37℃)の正確なアミノ酸配列と分子量を決定する。②Lam遺伝子を酵母宿主のPichia pastorisとSaccharomyces cerevisiaeでクローニングして、酵母の培養上層液でのラミナラン分解酵素活性を発現させる。③S. cerevisiaeで表層提示用ベクターを開発して、Lam及びフコイダン分解酵素を宿主S. cerevisiaeの表層に結合・発現させて、ラミナランを並行複発酵する発酵酵母を育種する。④Cellulophaga lyticaまたはHalomonas sp.が持つフコイダン分解酵素を精製し諸性状を解析する。酵素遺伝子の酵母でのクローニングと発現を行う。フコイダンを並行複発酵する酵母を育種する。 ⑤以上、の研究をインテグレーションして、褐藻多糖を効率的に並行複発酵する酵母を育種する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海洋低温菌Pseudoalteromonas haloplannktis LA株が持つラミナラン分解酵素LamのC-末端が不明で、正確なアミノ酸配列と分子量を決定するのに時間が掛かってしまい、次のクローニング実験に入れなかった。 25年度予算の残金は、C-末端の決定実験に使用する。その後に26年度の実験を行う。
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