2014 Fiscal Year Research-status Report
組換えタンパク質を用いたカロテノプロテインの色彩多様性に関する研究
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24580302
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
足立 亨介 高知大学, 自然科学系, 准教授 (00399114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 甲殻類 / 色彩 / クラスタシアニン / 組換えタンパク質 / アスタキサンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
甲殻類は様々な体色を呈するが、これは外骨格中に含まれるクラスタシアニン(CRCN)と呼ばれる色素タンパク質によるものである。本タンパク質はCRCN-AおよびCRCN-Cと呼ばれる異なる2分子のサブユニット構造が2分子のカロテノイドと非共有結合した基本構造を有している。甲殻類をゆでると一般に赤くなるが、これはCRCNのアポタンパク質からアスタキサンチンが放出されるためであると考えられている。我々はこれまでに報告されてきた甲殻類の体色が多様性を示すのに対し、CRCNの色素部位が主にアスタキサンチン(Asx)であることに着目し、この色彩多様性の由来は色素部位ではなくアポタンパク質側にと推察している。 昨年度までに「CRCN-AおよびCRCN-Cのタンパク質発現系の構築」に成功し、「CRCN-Cに我々の想定よりもはるかに多くのパラログ遺伝子が含まれる可能性」を示唆するデータを得ている。今年度はCRCN-AにおいてもCと同様に多くのパラログ遺伝子が存在すること、上述の発現系より高発現が期待できるベクターの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCRによりほぼ全長CRCN-Aを含むと推察される配列が19クローン得られた。このうち4クローンが同一配列で合計15種類のcDNA配列が得られた。複数のパラログ遺伝子は同義置換を起こしており、翻訳すると合計12種類のアミノ酸配列が得られた。ヨーロッパロブスターで確認されている同分子のAsx結合部位(His,Tyr)は全てのパラログ遺伝子に保存されていた。以上からクルマエビCRCN-A も昨年度解析を行ったCRCN-Cと同様にパラログ遺伝子が想定よりもはるかに数多く存在する可能性が示唆された。 申請時の予定では本年度は最終年度であり、組換えタンパク質の発現系を構築後、Asxとの再構成条件まで確立する予定であったが、候補遺伝子の多様性という想定外の事実を得たため、計画通りに進めることは出来なかった。しかしながら新たな知見や技術的な基盤は得ており、計画を1年延長して遂行することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果によってCRCN-AおよびCサブユニット両方が想定よりも多くのパラログ遺伝子によってコードされる可能性がある。そこで申請時の研究計画では1年間計画を延長し、このパラログ遺伝子の多様性につきNGSを用いて更なる解析を行う。加えてこれまでに作成した種々の組換えタンパク質発現系の至適条件を確立し、Asxとの結合実験を行う。
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Causes of Carryover |
本研究で中心となるCRCNはこれまでの報告から数種のパラログ遺伝子によってコードされていると考えられてきたが、本研究によってこの予想よりもはるかに多様である可能性が考えられる。一方で本研究推進中に遺伝子解析技術は激変し、NGSを用いれば大量のデータ取得が可能になった。以上から組換えの対象候補を網羅的に精査する必要が出たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CRCNパラログ遺伝子の網羅的解析、候補の絞り込み、組換え発現系の至適化。
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Research Products
(1 results)