2013 Fiscal Year Research-status Report
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24580307
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横山 雄彦 北里大学, 水産学部, 講師 (60296431)
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Keywords | ヒジキ / D-アスパラギン酸 |
Research Abstract |
「ヒジキD型アスパラギン酸の生理機能および代謝機構」という課題の中で,H25年度は「ヒジキD-AspとL-Aspの局在の比較」を行った。まず,H24年度に作製した抗L-Asp抗体とすでに保有している抗D-Asp抗体を用いてヒジキの局在を調べ,局在を比較することによって,両者の働きの違いを明確にすることができ,生理機能のより核心に迫る結果を得られると考えた。その結果,ヒジキのD-AspおよびL-Aspはともに細胞質に含まれていることが明らかになった。しかし,D-Aspがヒジキの中心部に局在しているのに対して,L-Aspは組織全体に分布していることが示唆され,機能が異なる可能性がある。 また,「D-Asp合成経路の探索」については,D-Aspの合成にアスパラギナーゼが関与している可能性があるため,前駆物質となるD-Asnの存在を検討する必要があった。OPA-N-アセチル-L-システインプレラベルHPLC法でD-およびL-Asnの検出が可能になり,ヒジキのD-Asn含量を調べた所,存在が認められなかったため,D-Aspの起源はアスパラギナーゼによるものでないことが示唆された。そこでD-Aspを合成する可能性のある別の酵素であるAspラセマーゼによる合成の可能性を検討した。しかし,褐藻であるヒジキには粘質多糖が多く含まれていることと,元々タンパク質含量が少ないため酵素タンパク質の抽出が困難であり,粗酵素液から多糖を除去する工夫が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
D-Asp合成酵素は予想したものと異なる可能性があるため,H26年度は別の合成酵素であるAspラセマーゼの存在を確かめたいと考えている。褐藻であるヒジキには粘質多糖が多く含まれていることと,元々タンパク質含量が少ないため酵素タンパク質の抽出が困難であるが,疎水性クロマトグラフィー用担体に粗酵素液をバッチ吸着させ,多糖を除去する方法をほぼ確立しつつあるため今後の研究を遂行する上での課題は解決されつつある。 ヒジキと同様にアカガイはD-Aspが多量に存在するきわめて稀な生物であるが,アカガイのD-Aspは低酸素条件下で減少することが報告されている。H26年度は低酸素条件下でヒジキのD-Aspが変動するか調べ,D-Aspと低酸素条件との関係を調べる予定である。
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Research Products
(1 results)