2014 Fiscal Year Research-status Report
機能性農産物の産地形成における産業複合化過程に関する社会経済的研究
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24580343
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
井上 荘太朗 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (50356325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 文明 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (70356327)
後藤 一寿 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70370616)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農村イノベーション / 食料・農業クラスター / R&Dネットワーク / 農村アニメーター / 機能性農産物 / 6次産業化 / フランス / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,機能性農産物の産業複合的な産地形成に関して,理論的側面と実証的側面から情報の収集・整理を行っている。初年度である平成24年度はフランス,タイ,オランダ等の事例を中心に情報収集を進めた。あわせて経営学や社会学の産業クラスターに関連した理論の整理を行った。平成25年度は,オランダの事例を中心に情報収集を行うとともに,マレーシア,タイで現地調査を行った。これまでの調査研究で,アジア地域では機能性をもった農産物は豊かに存在するものの,機能性を生かした産地形成や産業化の動きは活発でない現状が明らかとなっている。一方,先進国では,機能性食品に対する食品企業活動が活発であり,それに対応して研究開発型クラスターの展開が注目されている。平成25年度は,フランスの競争力クラスター政策や,オランダのフードバレー,グリーンポート等の農業関連クラスター,韓国のフードポリス計画等の海外事例を中心に情報収集を行った。また,東南アジアで機能性農産物の利用が進展しているタイについて,産地形成の背景となる社会経済事情や農業事情に関する情報を収集・整理した。平成26年度は、わが国の機能性食品製造企業の動向を整理するとともに、海外では引続き、オランダ及びタイの機能性農産物の産地形成の背景事情の整理をすすめた。 産地形成の理論的整理では,産業クラスターに関連した経営学のオープンイノベーション理論や社会学のネットワーク理論等に関する考察を深化させた。 以上の知見は,日本の成長戦略で重視されている農業の6次産業化政策の一層の展開に対して有益な知見を生み出してきている。これまで学会の個別報告(フードシステム学会)や分科会(日本農業経営学会),学会大会シンポジウム(日本農業経済学会)や、学会誌での発表のほか,農林水産政策研究所の刊行物や公開の成果報告会、シンポジウムなどで研究成果を社会に発信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外の機能性農産物の産地形成の過程を,農業部門と関連産業と複合化の視点から詳細に比較・検討するとともに,既往の地域開発理論を機能性農産物の産地形成条件の視点から再検討することを課題としている。平成24年度は農業に関するイノベーション政策についての国際比較研究が進展し,多くの海外事例の類型化と含意の抽出が進んだ結果,日本の6次産業化に関連した政策形成に対しても,貢献することが出来た。平成25年度は先進国の機能性農産物産地の形成事情に関する情報収集を発展させるほか,アジア(タイ,マレーシア,インドネシア)での機能性農産物産地形成とその背景に関する情報収集・整理を行った。また日本の機能性食品市場に関する状況を整理し,論文を執筆した。平成26年度は、タイの農業事情について、経済学的視点から整理を行い、学会の大会シンポジウムで報告するなど大幅に研究を進めることができたものの、オランダの農業クラスターの理論的整理など、計画していた研究項目を終了できず、研究実施期間を1年間延長している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度までに収集した欧州、韓国等の先進国やアジア地域の機能性農産物の産地形成に関する情報を分析整理し、成果発表を行う。また国内外の産地(タイ、オランダ等を想定)を対象として補足的調査を実施する。
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Causes of Carryover |
研究分担者が、体調不良のため、計画した海外現地調査を実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに情報を収集している国内及び海外の事例の補足調査旅費に主として充当する。
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