2013 Fiscal Year Research-status Report
哺乳動物卵における中間径線維の再配置の意義とこれに関わるシグナル伝達経路の解明
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24580403
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (50211313)
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Keywords | 哺乳動物卵 / 中間径線維 / 細胞骨格 / アクチン / ミオシン / デスミン / ケラチン / ビメンチン |
Research Abstract |
最近の研究により,一部の中間径線維が卵母細胞において発現することが報告されているが,その他の中間径線維の発現の有無,あるいは微小管やマイクロフィラメントとの関連など,その生物学的意義についてはほとんどわかっていない。そこで、中間径線維がこれまで知られていない働きをしている可能性を追求する必要があると考えられた。平成25年度は,哺乳動物における卵胞の発育過程ならびに卵母細胞の成熟過程における細胞骨格タンパク質(アクチン,デスミン,ケラチンならびにビメンチン)とモータータンパク質ミオシンの動態について免疫組織化学法と免疫蛍光染色法により追跡した。ゴールデンハムスターとブタを供試し,得られた結果は以下の通りである。 1.ハムスター卵巣と卵母細胞に関する結果 (1)二次卵胞以降の卵母細胞にアクチン,ミオシン,デスミンが検出された。(2)免疫蛍光法により,透明帯に付着した卵丘細胞にもアクチン,ミオシン,デスミンの局在が確認された。(3)卵の成熟に伴い,卵細胞質中のデスミンは有意に増加し(P<0.01),ミオシンも増加する傾向が認められた(P=0.08) 。したがって,デスミンとミオシンも卵の成熟に関与する何らかの機能を持つことが示唆された。 2.ブタ卵巣に関する結果 (1)卵胞の発育ステージに拘わらず,ブタ卵母細胞にはケラチンとビメンチンの局在は確認できなかった。(2)卵胞上皮細胞(顆粒層細胞)では,ビメンチンの染色性が観察されたが,ケラチンは陰性であった。(3)二次卵胞以降では,卵母細胞に接する顆粒層細胞と基底膜側の顆粒層細胞にビメンチンの陽性反応を認めた。したがって,ブタ卵胞の発育に,中間径線維タンパク質であるビメンチンが関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間径線維として多様なタンパク質が知られているが,研究開始当初に予定していた中間径線維タンパク質であるケラチン,ビメンチン,デスミン,ネスチン等の局在を明らかにしてきたので,研究計画はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳動物卵における各種中間径線維の再構築に関わるシグナル伝達経路を解明するために,主要な制御因子の機能を阻害する阻害剤を添加し,哺乳動物卵の成熟培養を行う。これにより,成熟各ステージでの機能阻害を誘発して,その影響を追求する。機能阻害後の中間径線維の再構築の状況等から主要な制御因子の役割を明らかにしていく。また,微小管またはアクチンマイクロフィラメントとの関連についても検討する。
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