2013 Fiscal Year Research-status Report
自由エネルギー変化の線形表現による薬物・タンパク質相互作用エネルギーの超精密予測
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24590051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中馬 寛 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20304545)
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Keywords | 薬物・タンパク質相互作用 / 定量的構造活性相関 / 超精密予測 / 自由エネルギー変化の線形表現 / フラグメント分子軌道法 / トリプシン阻害剤 / MMP阻害剤 / CYP P450 |
Research Abstract |
当初の年度計画に従い、LERE-代表エネルギー項評価の精密化およびLERE-QSARを幾つかのタンパク質・リガンド系での検証を行った。 1. LERE-代表エネルギー項評価の精密化; (1) 溶媒和エネルギー項;量子化学理論に基づく連続溶媒和モデル・分子軌道法と古典溶媒和理論に基づくBorn法とPoisson Boltzmann法を融合させた新しいhybridモデルによる評価法を提案しその有用性を、幾つかのリガンド・タンパク質系に対しての確認をhybrid評価法を組み込んだ新たなLERE-QSAR法を用いて行った。(2) リガンド・タンパク質間の結合に大きな寄与をする分散力相互作用エネルギーの新しい評価法るHF-Dtq法を提案した;HF-Dtqは非経験的分子軌道法HF(Hartree-Fock)から得られる分子間相互作用エネルギーに分子間距離に応じて古典的Lennard-Jones型分散力エネルギー項を加算する。小原子数からなるからなる約70種類の非結合分子間力錯体について、電子相関を十分に取り込んだ高精度非経験的分子軌道法 (CCSD(T))で得られる分子間相互作用のエネルギー値を基準とし、HF法に付加する原子 間分散エネルギー項の関数形とそのパラメータを決定した。HF-Dtqは比較的簡潔な表式と少ないパラメータにもかかわらず、基準値を0.6 kcal/mol以内で再現することが可能であること等を報告した。 2. LERE-QSARの応用と検証(2);タミフル等のシアル酸誘導体(5員環型)・インフルエンザ・ノイラミニダーゼ、biphenyl sulfonamide誘導体・MMPの結合自由エネルギーおよび馬尿酸フェニルエスル・トリプシンの触媒反応速度から得られる活性化自由エネルギーを~1 kcal/mol以内の精度で改良LERE-QSAR解析法で再現可能であることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り、当初の計画に従い、ほぼ順調に進んでいる。特に分散力相互作用エネルギーの高精度の迅速計算法をほぼ確立することができた。この方法を溶媒和エネルギー項のhybrid評価法と組み合わせた改良LERE-QSAR法についてより多くの系 での有用性と一般性の確認が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の溶媒和エネルギー項および分散力エネルギー項の信頼度の高くかつ迅速な方法を組み込んだ新しいLERE-QSAR法をより多くのリガンド・タンパク質系に適用しその有用性と一般性の検討を進める。とりわけ従来の適用系が阻害剤とタンパク質の結合自由エネギー変化であることに対して、酵素反応速度で表される活性化自由エネルギー変化が対象となる課題に取り組む。同時に、CYP P450(2D6)へのLERE-QSAR解析の適用を新たに行い有効性・一般性の検証と適用範囲の拡大を目指す。CYP P450系の解析はヘム鉄(Fe)の電荷とスピン状態を考慮した電子状態計算と大規模な配座探索計算(結合ポーズとリガンドおよびP450の結合に伴う配座変化)を考慮する必要があり、結合配座の多様性を考慮したLERE-QSAR解析法の構築を進めて行く。すでに解析が終了している金属含有のタンパク質・リガンド系との定量的比較を行っていく。
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Research Products
(15 results)