2013 Fiscal Year Research-status Report
規則性ナノ空間光触媒の創製とラジカル化学的CO2固定化反応への展開
Project/Area Number |
24590067
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
甲谷 繁 兵庫医療大学, 薬学部, 准教授 (00242529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 豪人 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10289035)
吉岡 英斗 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80435685)
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Keywords | 光触媒 / メソポーラス材料 / タンタル酸 / 二酸化炭素 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
本研究は、ナノ空間細孔を有する光触媒を創製し、その細孔内で熱反応では起こり得ない独特な化学反応を光で誘起することを目指している。具体的には、二酸化炭素とアミン、あるいはアルコールとの熱反応では、直接、アミノ酸あるいはヒドロキシ酸を与えることはないが、本研究で開発するナノ空間細孔の光触媒を用いれば、上記の反応を起こしうる可能性がある。 本年度は、上記の研究目標の達成を目指して、規則性ナノ空間(メソポーラス構造)を有するタンタル酸光触媒(m-Ta2O5)を調製し、エタノールとCO2から乳酸、ギ酸、酢酸を合成する反応検討を行った。m-Ta2O5の調製においては、細孔構造の特性(ポーラス構造の面間隔、細孔サイズなど)を小角X線散乱データや透過型電子顕微鏡で評価した。また、その構造情報とCO2とエタノールのラジカル化学的な反応で生成する乳酸、ギ酸、酢酸の生成物収量との相関を調べた。その結果、乳酸の生成は確認できなかったが、酢酸とギ酸に関しては効率の良い生成が観測された。しかしながら、m-Ta2O5のメソポーラス構造の面間隔、または、規則的なメソポーラスの構造性と触媒活性との相関は認められなかった。一方、m-Ta2O5は調製時における焼成温度が650℃付近でアモルファスからβ相の結晶構造へと相転移することが分かり、焼成温度600-700℃の範囲で触媒活性との関連を詳細に調べた。しかし、この結晶構造の相転移と触媒活性との関係性も認められなかった。さらに、メソポーラス構造を保持しながら結晶化したm-Ta2O5の調製も検討したが、触媒活性の向上と乳酸の生成は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とする乳酸が二酸化炭素とエタノールとの反応から得られなかった理由として、光触媒であるタンタル酸の表面が親水性なので、疎水性である二酸化炭素がタンタル酸のメソポーラス構造の細孔内に吸着されにくいためではないかと推測した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、メソポーラスシリカの表面を一部分フッ素化して疎水性を持たせた細孔構造の中に、光触媒であるタンタル酸あるいは酸化チタンの微粒子を担持させ、細孔内部での二酸化炭素とエタノールとのラジカル反応で生成する乳酸の合成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画に従い、適正な執行を行った結果、小額の次年度使用額が発生した。 小額の繰越金は、平成26年度使用する試薬などの物品費(消耗費)経費に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)