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2013 Fiscal Year Research-status Report

院内感染起因菌の消毒薬耐性の全体像の解明

Research Project

Project/Area Number 24590080
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

黒田 照夫  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80304327)

Keywords消毒薬 / セラチア / 多剤耐性 / 多剤排出ポンプ / 馴化
Research Abstract

院内感染の起因菌の一つであるセラチア・マルセッセンスの消毒薬耐性機構について明らかにするために、以下の解析を進めた。
昨年度までに高度消毒薬耐性を示す変異株を単離した。そして本株で昨年度見出した突然変異が、経代培養のどの段階で起こったのかについて、11段階の各段階での分離株を用いて解析を進めた。その結果、4箇所の変異は、3段階目で2箇所、6段階目で1箇所、10段階目で1箇所生じていることがわかった。3段階目と10段階目では、多剤排出ポンプ遺伝子sdePQの発現が上昇していることを昨年度明らかにしている。変異が見出された4つの遺伝子のうち、ホモロジー解析からリプレッサーとしての機能を持つことが予想された遺伝子Aについてまずは解析を進めた。遺伝子Aの変異は10段階目で起こっていた。そこで野生株及び高度消毒薬耐性株から遺伝子のクローニングを行った。野生株に野生型及び変異型の遺伝子Aを導入しても変化は見られなかった。高度耐性変異株に変異型の遺伝子Aを導入しても変化が見られなかった。しかし、高度耐性株に野生型の遺伝子Aを導入したところ、消毒薬のMICが著しく低下した。高度耐性株で見られた突然変異では、その塩基配列から正常な(機能しうる)遺伝子Aが産生されないと予想されるため、この遺伝子AはsdePQの発現を抑制しているリプレッサーであることが強く示唆された。
別の遺伝子Bは細胞内でのシグナル伝達に深くかかわっていると考えられる2成分制御系に関するものであることが強く予想された。また遺伝子Cについてはペプチドグリカン合成に関与するタンパク質に結合するタンパク質をコードすると考えられた。いずれも本菌の消毒薬耐性にどのように関わっているかは不明である。遺伝子Dに関しては、正常な遺伝子を導入しても消毒薬のMICに変化が見られなかったことから、消毒薬耐性には関わっていないと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度計画に示していた「SdePQの発現上昇メカニズム」については一定の進展が見られた。一部の遺伝子についてはクローニングに手間取った。この理由としてその遺伝子発現が菌の生育に影響を及ぼす可能性が考えられた。また遺伝子の発現が安定しないといった現象も見られたが、消毒薬耐性の評価法を一部改良することで正しく評価できるようになった。また当該遺伝子の破壊株の作成も進めており、順調に進捗している。
一方で、脂質組成の検討については、上記の遺伝子クローニングを先に進めたために、進捗度はよくなかった。よって総合的に見て「おおむね順調に進展している」とした。
本年度同定した遺伝子は、知的財産権に関係する可能性が排除できなかったため、学会発表及び論文発表を控えた。

Strategy for Future Research Activity

ここまでの結果を論文にする作業を進めている。今年度はこれを最優先し、脂質組成の検討や耐性株・馴化株からの復帰株の単離を並行して進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究を進める上で必須である遠心分離機が経年劣化により使用不可能となった。遠心分離機がない状態では本研究の進捗に多大な影響が出るため、一部の予算を遠心分離機購入にあてる。
遠心分離機がない状態では本研究の進捗に多大な影響が出るため、一部の予算を遠心分離機購入にあてる。また遺伝子クローニングや遺伝子は買い株の作成など恒常的に行っているものが今年度は多い。したがって消耗品費として予算の大半を使用する。さらに論文投稿費としても一部使用予定である。

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Published: 2015-05-28  

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