2013 Fiscal Year Research-status Report
死細胞により誘導される炎症応答に対して老化が及ぼす影響とそのメカニズムの解明
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24590100
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
永田 喜三郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (10291155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 芳郎 東邦大学, 理学部, 教授 (10134610)
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Keywords | 老化 / 炎症 / アポトーシス / 貪食 |
Research Abstract |
生体内でアポトーシスに陥った細胞は、マクロファージなどの貪食細胞によって速やかに除去される。しかし、この除去システムに何らかの破綻が生じると、アポトーシス細胞が残存し、ネクローシスに移行した細胞が原因となって強い炎症応答を誘発する。この炎症応答に着目し、アポトーシス細胞貪食除去における老化の影響を調べた。 昨年までに老化マウスとして、老化促進モデルマウスであるSMP-30欠損マウスを用いて解析を進め、若年マウスに比べ、老化モデルマウスではアポトーシス細胞の貪食除去が遅延し、またそれに伴って好中球の浸潤を主徴とする炎症応答が強く現れたことを示してきた。またこれらの結果は、SMP-30タンパク質が欠損することとは、直接関係することではなく、SMP-30欠損による老化促進による結果であることも明らかにした。また老化モデルマウスでの結果は、野生型老化マウス(24週齢)のマウスでも観察されたことからも上述の見解を裏付けることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、炎症応答の慢性化への老化の影響を解明するために以下の実験を計画していた。『ネクローシス好中球から放出されるS100の解析』として1)炎症終息期におけるS100産生量への影響、2)S100中和による炎症応答の慢性化への影響。 1)のためにすでにS100に対する抗体を作成するべく組み替え型S100を調整し、抗体作成に取りかかっており、ほぼ順調に計画を遂行している。また、2)関してはS100に対する抗体が取得できた際には、直ちに解析に取りかかれる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
『炎症応答の終息への老化の影響』 1)炎症終息期に浸潤する好酸球の役割:好酸球が炎症応答の終息に重要な役割を果たしていると推察されるので、好酸球走化性因子であるEotaxinおよびRANTESに対する抗体を用いて炎症巣への好酸球の浸潤を阻害したとき、炎症応答の終息がどのような影響を受けるか調べる。2)好酸球の浸潤への影響(老化マウスで浸潤が抑制されていた場合)好酸球を移植したときの炎症応答への効果について解析を行う。 『TRECK法による好酸球の重要性の証明』 TRECK法(Toxin Receptor mediated Cell Knockout法)を応用して、好酸球を特異的に枯渇し、炎症応答に対する影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
S100に対する抗体作成に時間を要したために使用する予定であったELISA kitおよびマウスの使用量が予定より少なかったため。 好酸球走化性因子であるEotaxinおよびRANTESに対する抗体を含めたELISAキットを購入する。また、好酸球の移植実験をするためにマウスおよび好酸球を分取するための蛍光標識抗体を購入する。 また、TRECK法を行うにあたり、CCR3受容体の遺伝子を取得するために遺伝子操作を行うための試薬類を購入する。
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