2013 Fiscal Year Research-status Report
抗認知症薬の経鼻投与の効果・臨床応用への可能性の検討
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24590187
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 裕介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (90378167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40345898)
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Keywords | 経鼻投与 / 塩酸ドネペジル / コリンエステレース活性 / 記憶障害動物モデル / 行動実験 |
Research Abstract |
抗認知症薬を抹消への有害な影響を抑え、効果的に中枢へ到達させる為の新たな投与経路として経鼻投与法の確立及びヒトへの臨床応用の可能性を探求するべく、動物(WKYラット)を対象に基礎実験を継続。 経鼻投与の経口投与に対する利点としては、求心性の嗅覚路を経由して脳内の標的部位へfirst pass metabolismの影響をうけることなく直接薬剤を到達させられることができる点、経口投与において比較的高率に報告されている抹消への作用による有害事象(特に消化器症状)が、薬物動態上軽減され、結果的に服薬継続率の向上に寄与できる点がある。 8週齢のWKYラットを6群に割り付け、投与後1時間の時点で採血後、脳組織を取り出し、両側の海馬・線条体に分離し、後日ChEI測定キットを用いてコリンエステレース活性の測定を行った。昨年度の結果では、線条体において、経鼻投与の経口投与に対する一定の利点(ChEの阻害活性の優位性の傾向)が観察されたが、測定によって変動があり、統計的に有意なレベルでの差異が観察されなかった。 経鼻投与の有効性の確認を目的としたコリン系障害動物モデルの作成を試行。WKYラットの両側中核野にコリン系の神経毒として広く使われているキスカル酸を注入し、1週間の回復時期を待って行動実験を実施(新奇物体認識試験:novel object recognition test)。結果として使用される3つのオブジェクトへの嗜好性に偏りがあることが判明し、新奇物体に対する興味がトライアルの時間に反映されていないという問題が障害前の予備実験にて明らかになった為、オブジェクトの嗜好性をコントロールした上で障害モデルでの本試行前の予備実験を実施中。経鼻投与に使用する溶解液についても、先行文献によって通常の溶解液では組織分布高率がかなり末梢血中に偏ってしまう可能性が示唆され、溶媒の形状を再検討の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳組織、末梢血中のCheIの濃度差が経鼻・経口で有意差を持って確認されていないことがわかっている。可能性として通常の溶解液では嗅覚系の求心性線維を経由した直接投与による効果的なドラッグデリバリーが行えていない理由が考えられる。現在薬剤(塩酸ドネペジルの溶媒の形状に関して検討中である。 障害モデル評価のための動物行動実験におけるオブジェクトの選定に嗜好性の偏りが観察されたため、その点も現在見直し中である。障害モデル作成のためのラット両側中隔野への薬剤注入の技術的困難の克服に時間を要している。 以上の理由にて当初予定していたより実験計画の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
先ず何より、実験実施状況の遅れを生じている課題すべき問題点の克服にあたる。 1)行動実験の条件の設定(オブジェクトの決定)による新奇嗜好性の確認 2)ラットにおけるキスカル酸による障害モデルの確立(行動実験で確認できる障害) 3)経鼻投与時における至適溶解液の探索(ChE活性の差異が経口との比較で確認できるレベルであることが必須である) が当面の研究推進のために必須の課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度には得られたコリンエステレース活性の実験結果が、H25年度では有意差が出現せず、効果検証の為、障害動物モデルの作成を試行し予備実験を実施。 実験に用いる至適溶解液の再検討や予備実験の実施により、本試行が計画通りに進行せず未使用額が発生。 至適溶解液を検討し、適切な溶媒形態の溶解液を購入。 実験動物(WKYラット)の購入:行動実験による評価は本研究おける必須の項目である。
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