2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん細胞の抗がん剤耐性化に関与する薬物代謝酵素の役割
Project/Area Number |
24590217
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (10185564)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物代謝酵素 / 乳癌 / 耐性化 / グルクロン酸抱合 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画の通りTAM 耐性 MCF-7 細胞株が2株樹立された(TAMR-MCF-7Aおよび-7B)。これらの耐性株について エストロゲンに対する感受性を維持しているかを検討したところ、いずれもエストロゲン依存性の増殖を示した。そこでTAM耐性MCF7株における各種細胞増殖に関与する遺伝子群について、野生株との発現様式の比較を行った。 すなわち、エストロゲン受容体 (ERα, ERβ)、タンパク質リン酸化酵素(PKC)、HER-2、プロゲステロン受容体、アポトーシス制御関連遺伝子群(API5, BNIP3)などの発現変動を real-time PCR 法により測定した。一方、UGT1A4発現により耐性化させたMCF-7-UGT1A4株においても同様に各種制御因子の変動を測定し、耐性化の要因について検討した。その結果、MCF-7-UGT1A4細胞では、UGT1A4 mRNAはMCF-7-wild細胞に比較して約1500~16,900倍増加していた。次いで、各種耐性化因子の変動をMCF-7-wild 細胞と比較すると、MCF-7-UGT1A4細胞においてPRαβおよびPRβが約2.5~5倍の高発現を示したものの、その他細胞増殖調節因子においては著しい増加は認められなかった。一方、TAMR-MCF-7A及び7Bでは、MCF-7-wild細胞と比較して両細胞においてUGT1A4の著しい発現増加は認められず、PRαβ、PRβの発現においては著しく低下していた。一方、TAMR-MCF-7AではHER-2、PKCδなどの増殖因子が増加しており、細胞増殖能が保たれるようになっていると推定された。これらのことから、UGT1A4発現株におけるTAM耐性化はこれまでに報告されている機構とは異なる機構によるものであることが明らかになった。すなわち、TAM耐性化には、細胞増殖調節因子の変動のみならずUGT1A4のような薬物代謝酵素の過剰発現も乳癌のTAM耐性化機構の一つとなりうることが示唆された。
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