2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590221
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
大倉 一人 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (00242850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長宗 秀明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40189163)
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Keywords | 感染症 / ヒト特異的 |
Research Abstract |
1)ヒト口腔常在菌Streptococcus anginosusにはβ溶血性を示すサブグループが存在するが、そのβ溶血因子は不明であった。我々は、このβ溶血因子の探索を行い、化膿性連鎖球菌が産生する代表的なβ溶血因子であるStreptolysin-S(SLS)のホモログの存在を明らかにした。興味深いことに、S. anginosusではSLSホモログをコードしている遺伝子が2つタンデムに存在し、それぞれの翻訳産物がβ溶血性に寄与していることが示された。 2)ILY、VLY、Sm-hPAFとヒト細胞側受容体 (hCD59)との相互作用をvan der Waalsエネルギーなどから解析したところ、ILYのhCD59との相互作用はVLYやSm-hPAFより強いことが示唆された。ILY Arg432がhCD59 Glu76 と水素結合を形成し、これを基点としてILYとhCD59は互いに整合性を満たす位置関係をとっていくと考えられた。VLYとhCD59では二つの水素結合が確認され、ILYとhCD59間にある様な柔軟な相互調節はないことが伺えた。また、Sm-hPAFとhCD59間でも二つの水素結合が確認され、VLYと同様な相互作用様式をとると考えられた。 3)黄色ブドウ球菌由来プロテインAのIgG結合ドメインであるZを標的化ドメインとし、コレステロール依存性細胞溶解毒素(CDC)とのキメラタンパク質を構築した。精製したキメラタンパク質は、IgG結合性、コレステロール含有リン脂質膜結合性、還元条件下選択的な膜孔形成性など期待された機能を維持しており、さらに抗CEA抗体を結合させたキメラタンパク質はCEA発現細胞への選択的な送達が確認された。以上より、構築したキメラタンパク質を用いたDDSに関して、細胞標的化に関する汎用性の向上が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関わるウェット実験の手技(遺伝子操作や細胞培養、タンパク質の生成・修飾、リガンド設計・合成など)は運用実績があり、操作過程での不具合が生じにくい。また各種ライブラリーも整ってきており、多様な実験に迅速に対応できる体制が出来上りつつある。ドライ実験に関しても、低分子化合物からタンパク質に対応できるツール(分子力学法(MM)、分子動力学法(MD)、分子軌道法(MO) など)が既に備わっており、研究の進捗に会わせてきめ細かい調節が出来る。また、共同研究者、研究協力者らとの定期的な打ち合わせによって、得られた実験データを開示し議論することで、問題点や今後の研究方策が明確になる。これらの理由から、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)β溶血因子であるStreptolysin-S(SLS)のホモログが活性を発現する際に、構造変化を伴うことをこれまでの解析から予測している。今後は分子内環状構造の形成と活性の関係を明確にする。 2)種に特異性を示さない細胞溶解毒素とヒト特異性を示す細胞溶解毒素の分子論的解析をさらに進める。そのかなで、ヒト細胞膜を特異的に認識するツールの開発も平行して試行する。これにより、新規のターゲッティング手法が開発できる可能性がある。 3)Streptococcus anginosus 以外の菌種、例えば、Streptococcus constellatus subsp. constellatus(SCC)には β溶血を示すサブグループが存在するが、この溶血因子が化膿性連鎖球菌などが保有するペプチド性溶血因子であるStreptolysin S(SLS)のホモログとどういう関係にあるかを明らかにした。またこれらの菌グループが産生するβ溶血性Streptolysin-S(SLS)のホモログを探索し、その遺伝子構造と分子機能を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた解析ツールのバージョンアップのタイミングが年度内に間に合わず、改めて導入について検討を要したため。 ヒト細胞特異性に序列を持つタンパク質と受容体の動的相互作用解析から感染症を制御する構造の設計に繋げるべくウエット・ドライ実験系の運用に研究費をあてる。CDCの細胞膜結合能を利用したモジュールの試作を進めるなかで、N末端側領域の回転屈折の制御が細胞膜結合領域の細胞膜への結合に関わることが明かとなった。これを踏まえて細胞改変ツールや薬物送達に利用しうるモジュールの開発を行う。 S.anginosusに由来SagAファミリーの分子内環形成について、複数ある環形成位置の分子運動エネルギーから序列を予測し、β溶血活性を担う動的構造の解析を進めている。sag遺伝子はAからIの遺伝子が協調的に働いて機能すると考えられ、sag遺伝子後半領域の輸送担体としての機能を検証する。リガンド輸送担体についてグラム陰性菌、陽性菌でモチーフ構造が報告されており、sag遺伝子が統括する産物の構造シミュレーション実施にも研究費をあてたい。
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Research Products
(10 results)