2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性ストレスとアトピー性皮膚炎:香料吸入の予防・治療効果とその機序に関する研究
Project/Area Number |
24590299
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡邊 達生 鳥取大学, 医学部, 教授 (60182929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 美智夫 鳥取大学, 医学部, 助教 (20093627)
木場 智史 鳥取大学, 医学部, 講師 (40565743)
庄盛 浩平 鳥取大学, 医学部, 講師 (60314572)
梅北 善久 鳥取大学, 医学部, 教授 (80244226)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 香料 / ピクリルクロライド / 皮膚バリア |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎の原因として、皮膚バリア障害によるアレルゲンの皮膚への進入とそれに続く免疫担当細胞の皮膚への集積・活性化が考えられている。近年、私たちは、慢性ストレスをラットに負荷すると皮膚バリア障害が起こり、このバリア障害は鎮静系の香料の緑の香りにより防止される事実を発見した。一方、慢性ストレスをアトピー性皮膚炎モデルマウスに負荷すると、アトピー性皮膚炎が発症すると報告されている。従って前年度は、ストレス負荷アトピー性皮膚炎モデルマウスが皮膚炎発症前に香料を嗅ぐことにより、皮膚バリア障害が防止でき、アトピー性皮膚炎が予防できるか否かを検討した。しかし、ストレス負荷マウスにアトピー性皮膚炎が発症しなかった。そこで、本年度は、別の方法でアトピー性皮膚炎を発症させて香りの予防・治療効果を検討した。具体的には、マウスの背部皮膚にピクリルクロライドを塗布してアトピー性皮膚炎を発症させた。5週間のピクリルクロライド塗布中(皮膚炎発症前)あるいは5週間のピクリルクロライドで皮膚炎発症後に緑の香りを2-5週間嗅がせて皮膚炎への効果を調べた。その結果、ピクリルクロライド塗布によるアトピー性皮膚炎マウスの皮膚症状、ひっかき行動の増加、経皮水分損失量の増加、角質水分量の減少、血漿IgE濃度の増加および皮膚肥満細胞数と好酸球数増加に対して緑の香りは予防・治癒効果を及ぼさなかった。香りの作用機序が主としてストレス緩和であるので、薬物による皮膚炎が香りで緩和されなかったものと推察される。今後は、よりストレスとの関連が考えられている、ヒトのアトピー性皮膚炎への香りの効果について検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要で記載したように、ピクリルクロライド塗布によるアトピー性皮膚炎に対して緑の香りは予防・治癒効果を示さなかった。ポジティブな結果が得られなかったので、現在までの達成度は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレスとの関連が考えられている、ヒトのアトピー性皮膚炎への香りの効果を検討する。具体的には、ヒトのアトピー性皮膚炎に及ぼす香料の治療効果を検討する。皮膚症状や経皮水分蒸散量を経時的に測定する。視床下部-下垂体-副腎系の活性として、血清ACTH濃度やグルココルチコイド濃度を調べる。血清IgE濃度と血中好酸球数を測定する。皮膚の組織学的検討(光学顕微鏡および電子顕微鏡による検討)を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実績の概要で記載したように、ピクリルクロライド塗布によるアトピー性皮膚炎に対して緑の香りは予防・治癒効果を示さなかった。しかし、ネガティブな結論に達するのは難しい。そこで、研究をいろいろな条件で行った。その結果、1年間かかってネガティブであるとの結論に達した(本研究は慢性実験なので、一つの実験に長期間を要する)。ポジティブな結果であれば行う予定だった、さらなる詳しい検討ができなかった。したがって、次年度使用額(1,033,379円)が生じた。 次年度使用額と、平成26年度分を合わせて、ヒトアトピー性皮膚炎の観察のために必要な、血中活性物資測定キット、光学顕微鏡や電子顕微鏡観察で必要な試薬やキット、その他、皮膚からの水分損失量測定のための機器などを購入する予定である。ヒトを用いた研究であるので、被験者に謝金をお渡しする(すでに被験者の募集を開始したが謝金無しでは集まらなかった。謝金が必要と考える)。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Tiron, a superoxide scavenger, suppresses fictive locomotionevoked sympathoexcitation in rats with heart failure2013
Author(s)
Koba, S., Inoue, Y., Hosatome, I., & Watanabe, T.
Organizer
Experimental Biology
Place of Presentation
Boston Convention & Exposition Center (Boston, USA)
Year and Date
20130421-20130421