2014 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的製剤投与による関節リウマチの病理学的変化と疾患特異的な細胞
Project/Area Number |
24590423
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
宇月 美和 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (50305992)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 生物学的製剤 / 線維芽細胞様滑膜細胞 / サイトカイン / 蛋白分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】関節リウマチ(RA)患者に対して、一般的な抗リウマチ薬(DMARDs)に続いて、生物学的製剤(Bio)による治療が行なわれている。手術の際に得られた滑膜組織などでDMARDs治療群とBio治療群の基本的な病理学的特徴を比較する。さらにBio例については、著効例と無効例との比較もおこない、研究のまとめをする。 【方法】滑膜組織での炎症スコアの検討:一般的なRA患者とBio例の比較の他に、Bio例の著効例と無効例の比較もおこなった。また、同一患者でDMARDs投与後とBio投与後の2回、滑膜を採取できた20例については、それぞれの薬剤使用後の滑膜の炎症の改善度を組織学的に比較したのち、免疫組織化学で具体的な構成細胞の特徴の変化を検討し、サイトカインや蛋白分解酵素についても検討した。 【結果】Bio例では特にリンパ球に関する炎症スコアが著しく低下し、線維化については増加していた。著効例と無効例との比較では、著効例での投与前後での変化率が大きく、リンパ球、血管数、マクロファージ系細胞、腫大したCD34陽性紡錘形細胞、TNFαやMMP-3の陽性細胞数も減少率が大きかった。 また、同一患者でも、DMARDs投与後よりもBio投与後の方が病理学的炎症スコアの改善度は大きく、 MMP-3やTNFα、CD68やCD34などの陽性細胞数もBio使用後の方が減少度が大きかった。また、TNFR-Ⅰ, TNFR-Ⅱについても同様な傾向を示した。DMARDsを投与したにもかかわらず、炎症が増悪した症例では特に、変化率が大きく、組織学的に著明な改善 がみられた。 【まとめ】Bioは DMARDsよりも強い抗炎症効果があることが組織学的に証明された。特にDMARDsで炎症が十分に抑制されなかった難治性RA症例でより強い効果を示すことが示唆された。
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