2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着分子CD146に着目した悪性胸膜中皮腫の早期診断と病態の解明
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24590437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / 早期診断 |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫の鑑別診断に有用なマーカーの探索を行った結果、細胞接着分子CD146が胸水中の反応性中皮細胞では発現が認められないのに対して、悪性中皮腫細胞では発現していることを見出した。そこで、早期診断マーカーとしての有用性を詳細に検討するために、悪性胸膜中皮腫の病理組織標本を用いて免疫染色を行い、CD146の発現を解析した。その結果、上皮型の悪性胸膜中皮腫20症例中、17症例(85%)がCD146陽性であった。このうち、比較的早期と考えられる症例に着目すると、胸膜表層において単層から数層に配列する異型中皮細胞が存在し、これらの細胞においてもCD146の発現が認められた。悪性胸膜中皮腫においては、染色体9p21領域に存在するCDKN2A遺伝子のホモ接合性欠失が高頻度に認められることより、その診断指標としての有用性が報告されている。そこで、同意が得られた悪性胸膜中皮腫患者の、比較的早期と考えられる病理組織標本(5症例)を用いて、fluorescence in situ hybridization (FISH)を行い、遺伝子欠失の有無を調べた。その結果、胸膜表層に配列する異型中皮細胞においても、9p21領域(CDKN2A遺伝子)のホモ接合性欠失が検出されたことより、これらは中皮腫の初期病変に相当すると考えられた。また、これらの細胞は免疫染色によってCD146陽性を示したことより、CD146は悪性胸膜中皮腫の初期病変を検出する早期診断マーカーとして有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早期の悪性胸膜中皮腫症例の病理組織標本を用いて、免疫染色やFISH法を用いた解析を行い、中皮腫の初期病変と考えられる領域を同定した。このような病変を検出する早期診断のマーカーとして、CD146が有用であることが示唆された。当初の研究実施計画に沿って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に沿って研究を進める。これまでに得られた成果をもとに、症例数を増やして検討し、悪性胸膜中皮腫の早期診断マーカーとしてのCD146の有用性を示すとともに、種々の進行段階の悪性胸膜中皮腫や反応性中皮における検討も行う。また、悪性胸膜中皮腫細胞株を用いて、CD146の生物学的機能の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実施計画に沿って研究を進め、研究費を適切に使用する。次年度使用額については、平成24年度に得られた成果をもとに、症例数を増やしてさらに検討を進めるため、それらの追加検討に必要な試薬等の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)