2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子CD146に着目した悪性胸膜中皮腫の早期診断と病態の解明
Project/Area Number |
24590437
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / CD146 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、細胞接着分子CD146が胸水細胞診における悪性胸膜中皮腫(MPM)と反応性中皮との鑑別診断に有用なマーカーであることを明らかにしてきた。本研究課題においては、早期診断マーカーとしてのCD146の有用性を検証するために、まず、MPMの早期症例での解析を行った。FISH法によりCDKN2A遺伝子領域の欠失の有無を調べると、胸膜深部脂肪組織への浸潤を認めず、胸膜表層で増殖あるいは単層に配列する異型中皮細胞においてもホモ接合性欠失が検出されたことより、これらはMPMの初期病変に相当すると考えられた。このような細胞においてもCD146の発現が認められたことより、MPMの初期病変を検出する早期診断マーカーとしても有用であることが示された。さらに、膜貫通性糖タンパク質であるCD146から産生される可溶型CD146(sCD146)の胸水中の濃度を調べると、胸膜炎を含む良性疾患と比較してMPMにおいて有意に高値を示した。MPMの組織検体における膜型CD146の発現と、胸水sCD146濃度には有意な相関性が認められたことより、胸水sCD146濃度がMPMの早期診断において有用なバイオマーカーとなることが示された。 CD146は悪性黒色腫において、その発現強度と腫瘍の悪性度に相関性が報告されているが、MPMの悪性度とCD146発現との関連は明らかでない。そこで、術前化学療法後に胸膜肺全摘術を施行されたMPM 45例を対象として、これらの手術検体を用いてCD146の発現を免疫組織化学的に評価し、術後生存期間との関連について検討した。その結果、CD146の発現レベルが陰性から弱陽性までの群と、強陽性を示す群とを比較すると、CD146強陽性群が有意に予後不良であった。したがって、CD146はMPMの早期診断マーカーであるとともに、予後予測因子としても有用であると考えられた。
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Research Products
(4 results)