2013 Fiscal Year Research-status Report
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24590459
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
冨田 裕彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (60263266)
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Keywords | D-loop / 7SRNA / VCP / UBL4A / STAT3 |
Research Abstract |
Valosin-containing protein (VCP) mRNA発現の抗アポトーシス性に関与すること、転移と密接な関係があることを報告した。VCP転写調節機構についての検討を行い、PBX/TALE (Pre B cell leukemia transcription factor 1 /three amino acid loop extension) 群 [PBX1-4, Meis homeobox (Meis) 1-3, pbx/knotted 1 homeobox (Prep) 1, 2]に属するPBX1がVCP転写因子であることを示した。PBX/TALE群に属する転写因子の機能をより詳しく検討した結果、Meis1 siRNAによるMeis1発現低下によりミトコンドリア遺伝子の発現が低下したが、PBX1, PBX2, Prep1に対するsiRNAでは低下しなかった。ミトコンドリア遺伝子発現パターンの検討過程で、ミトコンドリアDNA/RNA合成に関与するとされるD-loopについて検討を行い、D-loop領域に存在する短鎖DNA (7SDNA)とその相補的なRNA (いわゆるR-loop) に着目して検討を行った。マウス線維芽細胞NIH3T3をウシ胎児血清存在下と無血清で培養し、In situ hybridizationにより発現量を検討した。その結果、7SDNAとR-loopは無血清培養と10%清培養では、発現パターンが変化し、後者では核に近接する、あるいは核内に存在しているようにみえた。培養細胞の核内と細胞質内からDNAを抽出し、PCR法にて検討を試みた結果、この局在は、核内ではなく、核膜に付着する形であることが明らかとなった。我々はこれとは別に、VCPのco-factorであるubuquitin like 4A (UBL4A)についての検討を行った。UBL4Aは細胞質においては、VCPのco-factorであり、ユビキチン化された蛋白の分解などに関与すると考えられている。UBL4Aが核内ではnuclear encoded tRNA cysteine 45 (TC45)と共同で、signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3)の脱リン酸化に働き、細胞増殖抑制に関与することを明らかにした(Mol. Cell 2014; 53:752)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミトコンドリアRNAについては、ヒト由来細胞株(Panc1、PSN等)、マウス由来細胞株(NIH3T3等)を用いて、細胞周期、培養液Glucose濃度、dNTP濃度、酸素濃度等を変化させ、7SDNAとR-loopの発現パターンをIn situ hybridization を用いて検討した。当初は、核内に存在すると考えたが、研究を進めるにつれて、核膜周囲の局在であることが明らかになり、培養条件の変化による局在の変化の推移を定性的に評価し難い側面がある。本研究においては、研究対象をより広い範囲に広げ、VCPとco-factorであるUBL4Aについて、検討した結果、UBL4Aが核内ではnuclear encoded tRNA cysteine 45 (TC45)と共同で、signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3)の脱リン酸化に働き、細胞増殖抑制に関与することを明らかにした。さらにLiterleukin 6 (IL6)の刺激により、UBL4Aが核から細胞質に移行することも明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずVCP-UBL4Aの核内、細胞質内の極在と刺激による変化を検討したい。VCPは6量体を形成し、大部分が細胞質に存在していることが分かっているが、Native-Polyacrylamide electrophoresis (PAGE)-Western blot法による検討で、単量体のVCPも存在し、核内のほうが、細胞質内より多いことを見つけている。さらに、UBL4Aに関しては、他の研究グループの報告においては、細胞質内に多く極在するという報告がある(Wang et al, Mol Cell 2011; 42:758)。我々は核と細胞質を分離したSDS-PAGE、Western blot法により、核内はNative foamのUBL4Aが、細胞質内では修飾をうけ、分子量が大きくなったUBL4Aが存在することを確認している。我々は、ミトコンドリア研究の過程で核、細胞質を分離して検討することに習熟しており、今後は、種々の刺激における、VCPの単量体とUBL4Aの核―細胞質移行のメカニズムを検討するべく、研究を続けたい。さらに、ミトコンドリアD-loop領域のDNA/RNAである7SDNAとR-loop以外の機能解明が十分行われていないミトコンドリアRNAの細胞内極在についても検討を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に関しては、物品購入費が予想以下に抑えられたので、これを次年度の研究費としてあてたいと考えました。 細胞内での、VCP、UBL4Aの極在と修飾について分子生物学的検討を行う。手術摘出され保存されているパラフィンブロック標本を用いて、薄切切片を作成し、VCP、UBL4Aの免疫染色を行い、発現パターンと腫瘍の大きさ、深さ、脈管浸潤の有無、転移の有無、生命予後との検討を行う。転移向性の高い、乳癌、肝臓癌、胃癌、大腸癌、膵臓癌、肺癌等について、これらの検討を行いたい。さらに、細胞増殖と7SDNA、R-loop発現パターンについても検討し、これらの臨床病理学的な意義を明確にすることも目的としたい。
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[Journal Article] GdX/UBL4A Specifically Stabilizes the TC45/STAT3 Association and Promotes Dephosphorylation of STAT3 to Repress Tumorigenesis.2014
Author(s)
Wang Y, Ning H, Ren F, Zhang Y, Rong Y, Wang Y, Su F, Cai C, Jin Z, Li Z, Gong X, Zhai Y, Wang D, Jia B, Qiu Y, Tomita Y, Sung JJ, Yu J, Irwin DM, Yang X, Fu X, Chin YE, Chang Z.
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Journal Title
Mol Cell
Volume: 53
Pages: 752-765
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Insulin Receptor Substrate 1/2 (IRS1/2) Regulates Wnt/β-catenin Signaling through Blocking Autophagic Degradation of Dishevelled2.2014
Author(s)
Geng Y, Ju Y, Ren F, Qiu Y, Tomita Y, Tomoeda M, Kishida M, Wang Y, Jin L, Su F, Wei C, Jia B, Li Y, Chang Z.
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 18
Pages: 11230-41
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cells of origin of squamous epithelium, dysplasia and cancer in the head and neck region after bone marrow transplantation.2014
Author(s)
Kano Y, Ishii H, Konno M, Yamasaki M, Miyata H, Nishikawa S, Hamabe A, Ogawa H, Takahashi H, Ohta K, Hasegawa S, Tanaka K, Fukusumi T, Otsuka M, Kawamoto K, Haraguchi N, Fujimoto R, Isobe M, Tomita Y, Matsuura N, Takiguchi S, Mori M, Doki Y.
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Journal Title
Int J Oncol
Volume: 44
Pages: 443-50
DOI
Peer Reviewed