2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590528
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
TOMA Claudia 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40325832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏彦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10292848)
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Keywords | 細菌 / レプトスピラ / マクロファージ |
Research Abstract |
病原性レプトスピラは多くの哺乳動物に感染し、腎尿細管で増殖し尿中へと排出される。ヒトは、この尿との直接的な接触、あるいは尿に汚染された水や土壌との接触により感染する。レプトスピラ症の軽症型の場合は風邪と似た症状でやがて回復するが、重症型(ワイル病)の場合は黄疸、出血、肝・腎臓の障害などの症状がみられ高い死亡率を示す。レプトスピラ感染患者は世界で年間30-50万人と推定されており、中南米、東南アジアなどの熱帯、亜熱帯地域ではマラリアやデング熱に次いで重要な感染症である。レプトスピラ症の病態形成のメカニズムはほとんど解明されておらず、病原因子としては溶血毒素や、宿主細胞外マトリックスへの接着に関与している外膜タンパク質等の報告がある。また、本菌の宿主細胞への侵入過程は、病態形成の鍵となる重要なステップである。しかしながら、病原性レプトスピラの侵入機構はほとんど理解されてないのが現状である。本研究では、病原性レプトスピラが細胞内へ取り込まれるために必要な病原因子および宿主因子を同定し、病原性レプトスピラの細胞侵入の分子機構を解明することを目的とする。 これまでに、高病原性株と低病原性株のマイクロアレイ解析によって、マクロファージへの侵入に関与している細菌因子として外膜タンパク質LB216とLA3778を同定した。本年度は変異株や非病原性レプトスピラ(L.biflexa)の発現システムを構築し、LB216とLA3778の機能解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、病原性レプトスピラが細胞内へ取り込まれるために必要な病原因子および宿主因子を同定し、病原性レプトスピラの細胞侵入の分子機構を解明することを目的としている。 本年度は、高病原性株で発現が上昇していた2つの外膜タンパク質(LB216とLA3778)の解析を進めた。LB216とLA3778のトランスポゾン挿入変異株はマクロファージへの侵入が低下した。また、シャトルベクターに当該因子をクローニングし非病原性レプトスピラに導入することによって、非病原性レプトスピラの細胞へ侵入が上昇し、これらの因子はマクロファージへの侵入に関与していることが示唆された。 これらの外膜タンパク質が病原性レプトスピラの病態形成に関与しているかを調べるために、野生株とLB216及びLA3778変異株を用いてCH3/HeJマウスの感染実験を行った。LB216変異株では病原性の低下は認められませんでしたが、LA3778変異株では病原性の低下が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、宿主細胞への侵入に必要なLB216の最小領域を決定し、プルダウンアッセイによってLB216が結合する宿主タンパク質を同定する。さらに、当該領域が標的宿主因子に結合することによって生じる細胞内変化(リン酸化、ユビチン化等)を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LB216の宿主細胞の侵入に必要な最小領域を決定した後に、細胞への侵入様式を解析することになったため。 宿主細胞への侵入様式の解析に必要な阻害剤の購入。
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Research Products
(3 results)