2015 Fiscal Year Research-status Report
津波被災地をフィールドとした下肢静脈エコー所見と止血機能検査の研究
Project/Area Number |
24590685
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山村 修 福井大学, 医学部, 講師 (30436844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 深部静脈血栓症 / 仮設住宅 / 津波 / 下肢静脈エコー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は震災被災地において深部静脈血栓症(Deep vein thrombus:以下DVT)の検出を目的とした下肢静脈エコーと血液凝固線溶機能検査を実施し,被災環境がエコー所見に及ぼす影響を検討する.平成27年度は過去3年に引き続き,10月10日と11日に宮城県亘理郡(亘理町,山元町)の仮設住宅並びに在宅被災者247名(男性69名,女性178名,年齢69.8±11.3歳)を対象に検査を実施した.背景因子は高血圧48.6%,糖尿病15.8%,脂質異常症49.8%で,脂質異常症は24年度(29.6%)と比較し25年度(47.8%),26年度(55.3%)と同様高い検出率を示していた.DVTは27名(11.0%)で,24年度(4.5%),25年度(8.3%),26年度(10.3%)と右肩上がりの上昇は継続していた. 凝固線溶機能では過去3年に引き続きD-dimerとPAI-1を任意で計測した(113名).このうちD-dimerはDVTなし群(0.39±0.43ng/dl), 新鮮DVT群(0.54±0.50ng/dl),陳旧性DVT群(0.47±0.58ng/dl)とも有意差はなかったが,PAI-1はDVTなし群(23.2±11.7ng/dl)に対し, 新鮮DVT群(30.0±29.5ng/dl),陳旧性DVT群(35.3±39.1ng/dl)で上昇傾向を認めた.上記の点を日本集団災害学会や日本栓子検出と治療学会で発表した. また被災地でのDVT検出に下腿静脈の拡張所見が関与することを下記の医学雑誌に報告した. 前田文江,山村修ほか,被災地検診活動から得られたヒラメ静脈径拡張の関連因子について,医学検査65(1),p25-31, 2016
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は被災地環境が下肢静脈エコー所見に及ぼす影響やDVT予防を目的とした保健活動の介入根拠となる指標を求める点にある.平成27年度も過去3年に引き続き亘理,山元両町でDVT検診を実施し,2日間で250名弱の被災者データを得た.被災地は仮設住宅段階から災害復興住宅段階へと移行しているが,DVT検出率は依然,高い数値を保っていることを報告した.また脂質異常症の増加とDVT検出率の上昇をつなげる因子として,脂質由来の線溶因子であるPAI-1を測定し,DVT陽性群で上昇傾向にあることを見出したことは予想外の結果であった. 以上より,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であり,これまでの結果を多角的に解析し,学会等に発表するとともに,亘理町,山元町の医療,保健関係者に情報還元を行うため,報告会を実施することを目標とする.
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Research Products
(5 results)