2016 Fiscal Year Annual Research Report
Vein echogenic findings of lower limbs and hemostatic function test with field of tsunami stricken area
Project/Area Number |
24590685
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山村 修 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (30436844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 深部静脈血栓症 / PAI-1 / 脂質異常症 / ヒラメ静脈径 / d-dimer / 心エコー有所見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は津波被災地において深部静脈血栓症(deep vein thrombus:DVT)の検出を目的とした下肢静脈エコーと血液凝固線溶機能検査を実施し,被災地環境が下肢静脈エコー所見に及ぼす影響を検討した.平成28年度は過去4年間の検診結果を整理し,その結果を研究フィールドである宮城県亘理郡の医療・行政関係者に報告した(平成29年2月).本研究では以下の点が明らかになった. ⅰ)被検者のDVT検出率は発災後2-5年で右肩上がりに上昇した(24年:4.5%,25年:8.3%,26年:10.3%,27年:11.0%). ⅱ)問診による被検者の脂質異常症有病率は発災後4年をピークに上昇した(24年:29.6%,25年:47.8%,26年:55.3%,27年:49.8%). ⅲ)発災5年の検診被検者で血中prothrombin activator inhibitor-1(PAI-1)値の測定を行ったところ,DVT群(34.3±36.5ng/dl)はDVTなし群(23.2±11.7ng/dl)に対し有意に高値であった.PAI-1は脂肪由来因子であり,脂質異常症の増加に伴う低アディポネクチン状態が凝固機能亢進とDVT検出率の増加に関与した可能性が示唆された. ⅳ)2回以上のエコー検査を受けた被検者では,DVT持続群がDVT消失群,DVTなし群と比較して有意に睡眠薬服用者が多く(71.4% vs 42.1% vs 34.3%, p<0.05), 初回の筋枝(ヒラメ)静脈最大径が拡大し(8.6±1.6mm vs 6.6±1.8mm vs 6.6±1.6mm, p<0.01),2回目のD-dimer値が有意に高値であった(0.64±0.52μg/ml vs 0.34±0.12μg/ml vs 0.34±0.16μg/ml). ⅴ)心エコー有所見者も年毎に増加し,筋枝静脈拡張に関与した可能性がある.
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