2013 Fiscal Year Research-status Report
日常検査で抗菌薬耐性機構が明らかとならない細菌の耐性表現型と遺伝子型の解析
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24590708
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福地 邦彦 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (70181287)
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Keywords | 抗菌薬耐性 / metalloβlactamase / カルバペネム耐性 / A. baumannii / P. aeruginosa |
Research Abstract |
臨床分離の抗菌薬耐性株を収集し、表現型と耐性遺伝子の解析を行った。 第三世代セファロスポリン耐性のE.coliは、表現型がESBL産生を示唆するデータであったものは矛盾なくCTX-M typeの遺伝子を検出した。 表現型と遺伝子型が不一致または耐性遺伝子が不明な耐性菌は、K.pneumoniae, E.cloacae, P.aeruginosa, A.baumanniiで多く存在した。 なかでも、表現型ではmetallo βlactamase(MBL)産生が示唆されたP. aeruginosaでは、我が国で高頻度に責任遺伝子として検出されるIMP型、VIM型遺伝子が検出されないものが複数分離された。また、カルバペネム耐性A. baumanniiの耐性表現型の解析では、MBL産生が示唆されるものと、それ以外の機構でカルバペネム耐性獲得をしている株がほぼ半数ずつ存在することが明らかとなった。これらの耐性遺伝子を解析したところ、カルバペネム耐性P.aeruginosaでの現象と同様に、IMP型あるいはVIM型遺伝子は検出されなかった。また、MBL以外の機構では、数株にOXA23遺伝子が検出された。A.baumanniiにおけるOXA23は地球規模で蔓延している多剤耐性A.baumanniiの耐性機構であり、その検出は臨床疫学的に重要な情報となった。2013年度中に、MBL陽性の表現型を持つP.aeruginosaとA.baumanniiの耐性責任遺伝子のクローニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表現型がカルバペネム感受性のK.pneumoniaeとK.oxytocaからMBL遺伝子を検出し、学会報告を行った。現在論文作成中である。 当初対象としていた、抗菌薬耐性菌株は順調に収集を行い得ている。さらに継続する。 それぞれの耐性表現型をテストし、株保存し、またDNA抽出はすべての対象株について行った。 耐性遺伝子解析を対象株のすべてに行った。これまでに我が国で検出された既知の遺伝子の存在を確認した。今後は、耐性責任遺伝子が不明であった株の遺伝子解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
耐性機構が不明であった抗菌薬耐性菌の耐性責任遺伝子を検出するための実験を継続する。 標準的な手法として、耐性株のDNAの全体を、制限酵素で切断し、プラスミドにクローニングする。プラスミドを感受性大腸菌に導入し、耐性獲得した株を選択することで耐性獲得に関わるクローンを選択する。プラスミドに挿入された菌由来DNAの塩基配列を決定し、耐性遺伝子を明らかにする。
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