2013 Fiscal Year Research-status Report
石綿工場周辺住民の肺がん死亡リスクの上昇を再確認する
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24590824
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
熊谷 信二 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (50250329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10124877)
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Keywords | 石綿 / アスベスト / 肺がん / 中皮腫 / 近隣曝露 / 石綿工場 / 住民 |
Research Abstract |
1943年から1991年まで大量の茶石綿と白石綿を使用していた工場の周辺に、1992年1月時点に居住していた男性951人および女性956人を対象者とし、1992年1月1日から2012年12月31日までの21年間における石綿関連疾患による死亡状況を日本人の平均と比較することにより、石綿工場から飛散した石綿による健康影響を明らかにすることがこの調査の目的である。 1年目は、羽島市アスベスト調査委員会(羽島市担当者、市会議員、自治会役員、住民、専門家)において調査計画を説明して了解を得た後、2013年2月に、依頼書および質問紙を返信用封筒とともに対象者宅(対象者1907人)に郵送した。2013年3月末時点での回答率は55%と低かった。 2年目である本年度は回答率を上げるため、質問紙を最大5回まで郵送するとともに、羽島市アスベスト調査委員会の協力を得て調査への参加を呼び掛けた。その結果、2014年3月末時点での回答者は1907人中1705人であり回答率は89%になった。死亡者は301人であり、このうち235人の死亡診断書は既に取得しており、残りの66人について死亡診断書を取得するために、名古屋法務局に承認申請をしたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地元自治体の協力を取り付けるのに時間を費やしたこともあり、質問紙の郵送時期が当初予定より少し遅れたことと、また、回収率がなかなか上がらなかったため、郵送を繰り返したり、羽島市アスベスト調査委員会の協力を得たりしたため、回収が予定より遅くなってしまった。このため、本年度末に法務局への死亡診断書の取得承認申請を提出したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
法務局より死亡診断書が取得できれば、原死因が肺がんの死亡者については、職業性石綿曝露および家族曝露などの有無を確認するため、本人の職歴、家族の職歴、自宅での石綿取扱いなどに関するに関する質問紙を郵送し回収する。 すべてのデータが揃った時点で、対象者全体での標準化死亡比(SMR、男女別)を算出する。さらに、肺がん死亡者については、職業性石綿曝露のある方を除外して、SMRを算出するとともに、風向・風速などから推定した石綿曝露濃度により、4つの群に分類して各群での肺がんのSMRを算出する。その結果により、石綿の近隣曝露により、肺がん死亡が上昇しているのか否かを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進行が当初予定よりも少し遅くなったため、肺がん死亡者の職業性石綿曝露などの調査まで進めなかったため、旅費、郵送費、謝金などが余った。 法務局からの死亡診断書の取得、肺がん死亡者の職業性石綿曝露などの質問紙調査、データ解析を実施する予定である。そのための費用として、物品費250,000円、旅費600,000円、謝金200,000円、その他220,000円を使用する予定である。
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