2015 Fiscal Year Annual Research Report
健康危機時のマスコミュニケーションのあり方に関する国際比較研究
Project/Area Number |
24590827
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
佐藤 元 国立保健医療科学院, 政策技術評価研究部, 部長 (70272424)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 社会医学 / マスメディア / 健康リスク / 国際比較 / 健康危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健康リスクへの対処に関わる政策、特にリスクの受容と忌避や政策選択に係るリスクコミュニケーションのあり方、特にマスメディアが政策議論に果たす機能について実態調査を行い、国際的な比較実証分析を意図した。本研究では、食の安全・リスクに関わる問題としてBSEと輸入食品問題への対処を検討課題として取り上げ、日本、米国、韓国の主要日刊紙における報道・社説・論説記事の抽出、分類、さらにこれらの比較分析を行った。 初年度には、健康危機事象の具体例である狂牛病(BSE)および原子力発電の安全性・事故に関する国内外の新聞報道記事の収集を完了した。次年度は、日本・米国のデータ解析を終え、健康リスクの社会的増幅・減衰を監視する手段としてのメディアの有効性、またリスク管理における国際協調の一助となる可能性を明らかにした。また、地域住民の安全・リスクに関する取り組みに関する住民意識調査を基に、セーフコミュニティー構築に向けた政策的取り組みについて、その促進・阻害要因を明らかにして学術報告を行った。第3、4年次においては、収集データの再解析を進め、日本、米国ならびに韓国の事例につき、国際学会にて報告、また日米、米韓の事例について比較対照した解析結果につき原著論文を公刊した。 日本における安全に加えた「安心」の強調がBSEリスク管理政策の(意図的な)populist approachであった可能性と共に、米国における「科学」もまた畜産・牛肉産業が主導したリスク相対主義、あるいは科学至上主義の結果であった可能性も否定できない。政策、リスクの管理・認識の相違と(政治社会的)規定要因の理解が、政策目的の設定や効果的介入に重要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)