2013 Fiscal Year Research-status Report
建築業従事者における騒音ならびに有機溶剤ばく露と職業性難聴に関する追跡調査研究
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24590833
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
久保田 均 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 有害性評価研究グループ, 上席研究員 (80415968)
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Keywords | 職業性難聴 / 有機溶剤 / 有機溶剤ばく露 / 建築業 / サンプリング調査 / 振動 / 騒音 |
Research Abstract |
初年度の調査等により得られたデータに関し、適宜、整理・解析のうえ引き続いて学会等での発表を行った。更に、平成25年度では事前の研究計画に基づき、建築作業現場における有機溶剤濃度のサンプリング調査を実施した。今回の調査現場は鉄筋建物の外壁と屋根の改修および塗装工事であった。調査実施に先立ち、施工業者に協力を求め、工事で使用する塗料その他の建材に関するMSDSシートを入手のうえ、サンプリング調査の対象となる有機溶剤製品の特定を行った。調査の結果は、屋外での作業であったことから、有機溶剤の濃度については作業環境ならびに作業者の個人サンプリングともに、使用された物質毎の基準管理濃度を下回るものであった。 一方、本調査の作業員2名について作業開始の前に、面談による問診調査、聴覚検査を実施した。問診調査では、年齢・身長・体重・現職の開始年齢・過去に経験のある職種・一日当たりの作業時間・一週間当たりの作業日数・気になる自覚症・防毒マスク等保護具の使用有無・喫煙飲酒・等の聴取を行った。その結果、問診では何れの作業者とも聴覚に関しては特に問題はないとのことであったが、聴覚検査の結果からはやや難聴傾向が見られた。このことから、これまで様々な機会で実施してきた各種問診・質問紙調査上での聴覚自覚症結果と実際の聴覚検査結果との間には、必ずしも一致しないのではないかという問題点がうかがわれた。両作業者ともに「塗装工」としての作業歴が50年近くであり、その間には多々、密閉空間での高濃度の有機溶剤ばく露作業もあったとのことであり、今後の調査では更に詳細な調査方法の検討が必要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画2年目で予定した、作業現場における有機溶剤のサンプリング調査ならびに作業者への問診・聴覚検査を実施したことにより、計画全体の基礎データの把握が完了した。その結果、計画最終年に向け、更に必要な調査項目等の確認ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の現場調査は屋外作業現場であったため、有機溶剤測定結果は何れも低濃度であったが、最終年度では比較的高濃度であることが予想される作業現場における調査の実施を予定している。また、聴覚に関する「自覚的申告」と実際の「聴覚検査結果」との関連についても、調査対象作業者の数を増やしたうえで更に詳細な調査が必要であると考える。 一方、可能であれば有機溶剤ばく露に加え、振動や騒音ばく露も伴う作業現場での調査の可能性も探る必要があると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【次年度使用額が生じた理由】 1)有機溶剤サンプリング調査ならびに作業員の問診・聴覚検査に関わる現場調査について複数回の調査を予定していたが、適切な作業現場が容易に確保できず、結果として1回しか実施できなかったため。 2)1)の理由に伴い、調査サンプルの化学分析に必要となる機材の購入量が予定を下回ったため。 前年度で予定していた現場調査を複数箇所で実施することを目指したいと考えている。
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Research Products
(3 results)