2013 Fiscal Year Research-status Report
肝移植後の肝癌再発機序におけるNK細胞機能の重要性と免疫監視破綻機序の解明
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24590963
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山際 訓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10419327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (20422602)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授(Associate Professor) (40334669)
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Keywords | 肝移植 / 肝細胞癌 / NK細胞 / 免疫監視 |
Research Abstract |
1.症例の選定,肝組織と末梢血の採取,臨床データ・治療経過のまとめ 今年度は当施設での新規の肝移植実施が無かったため,生体肝移植後の肝細胞癌症例および肝細胞癌非合併肝硬変症例について適切に肝生検組織と末梢血の採取を行い,研究に使用するとともに肝細胞癌再発の有無など経過観察を継続中である。また,対照として移植施行例以外の肝細胞癌症例と肝細胞癌非合併ウイルス性肝硬変症例についても症例数を増やして検討を行った。 2.NK細胞レセプターや細胞傷害性リガンド,サイトカイン・ケモカインレセプター発現の網羅的解析 フローサイトメトリーと免疫組織染色によりNK細胞レセプターと活性化マーカー,ケモカインレセプターなどの分子に関して,末梢血と肝組織を用いた検討を実施した。移植後の肝細胞癌再発症例が少なく,肝細胞癌再発との関連については結論的な結果は出ていないものの,移植後のC型肝炎再発症例の肝組織中ではNKG2Aを発現するCD56+bright NK細胞分画が有意に増加し,肝炎進行に関与している可能性を見出し報告した(Biomed Res. 2014, in press)。 3.血清中の可溶型NK細胞レセプターリガンドと抗NK細胞レセプターリガンド抗体の測定 NK細胞機能に関与する可溶型NK細胞レセプターリガンド(sMICA)について,肝移植例と非移植例の肝細胞癌切除前後の血清を用いてELISAによる検討を継続中である。更に,血清中のMICAに対する抗体がLuminex法により検出された肝細胞癌症例について,MICAのDNA typingを実施し,自己のMICAに対する抗体の有無と肝細胞癌再発との関連などを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は当施設での新規肝移植実施症例が無く,移植後の肝生検実施症例が予定よりも少なかっため,当初計画より研究の進行はやや遅れているものの,非移植例の肝細胞癌症例,特に肝切除施行例を中心に肝組織と末梢血を用いた検討を継続しており,一定の成果は得られていると考えている。肝癌細胞株に対するNK細胞機能に関するin vitroでの検討では,移植後の免疫抑制剤投与状態の症例から十分なNK細胞数の分離が困難な場合が多かったため,分離条件などを再検討し再開している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまでの手技・手法による肝組織と末梢血を用いたNK細胞分画やNK細胞活性化状態,レセプター発現に関する解析を継続して検討症例を蓄積する。特に肝細胞癌再発症例については,移植後の症例だけでは十分な症例数が集積しない可能性があるため,非移植例での肝細胞癌再発症例についても詳細な検討を継続したい。また,特に遅れているin vitroでの機能解析に一層注力したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の未使用分が14万円程あったものの,今年度はほぼ当初の予算通りに使用したため9万円程の未使用分が生じた。 物品費などに使用する計画である。
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Research Products
(5 results)