2013 Fiscal Year Research-status Report
肝癌由来増殖因子の血管新生と肝癌増殖における役割の検討
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24590998
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
榎本 平之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40449880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 修平 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10192246)
今西 宏安 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60340957)
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Keywords | HDGF / 肝細胞癌 / Sorafenib / IFN / 血管新生 / DNA チップ / Xenograft model / 細胞増殖 |
Research Abstract |
1. SorafenibとIFNの併用療法についての検討(in vitro):H24年度の検討からSorafenibおよびIFNの投与に加えてHDGFの発現抑制を行うことで、より強い抗腫瘍効果が得られる可能性が考えられた。我々の樹立したHDGFをノックダウンした肝癌細胞にSorafenibあるいはIFNを作用させ、肝癌細胞の増殖抑制効果が増強されることが確認された。HDGFの抑制による癌細胞増殖抑制の治療への検討に重要である。 2. SorafenibとIFNの併用療法についての検討(in vivo): H24年度に引き続きヒト肝癌細胞株を免疫不全マウスの皮下に移植するXenograft modelを用い、Sorafenib(経口投与)とIFN(腫瘍近傍へ注入)の併用による抗腫瘍効果増強を確認し、特に腫瘍血管を含む腫瘍間質細胞への作用が重要であることを明らかにした。肝癌への新たな治療法にもつながる知見と考えられる。 3. SorafenibおよびIFNの標的遺伝子の同定と、その肝癌細胞増殖促進効果の検討 (in vitro):H24年度に引き続き肝癌細胞に対するSorafenibおよびIFN投与によって生じる、HDGF以外の遺伝子の変化についてDNAチップによる解析で変動遺伝子を同定した。 4. SorafenibおよびIFNの標的遺伝子の同定と、その肝癌細胞増殖促進効果の検討(in vivo):SorafenibおよびIFN投与によって生じるHDGF以外の遺伝子の変化について、上記2. のXenograft modelで得られた腫瘍サンプルに対してもDNAチップによる検討を行った。Pathway解析により、SorafenibへのIFN併用はアポトーシス誘導と細胞増殖抑制をもたらすことが明らかとなった。肝癌の新規治療にもつながる知見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HDGFをノックダウンした肝癌細胞にSorafenibあるいはIFNを作用させ、肝癌細胞の増殖抑制効果が増強されることを明らかにできた。またSorafenibにIFNを併用することにより抗腫瘍効果が増強されること、またその機序として腫瘍血管を含む腫瘍間質細胞への作用が重要であることを明らかとし、肝癌への新たな治療の開発につながる知見が得られた。またin vitro実験および in vivoでの実験での細胞あるいは腫瘍のサンプルを採取して、DNAチップによる遺伝子解析によってその抗腫瘍機序に関連するPathwayや一部の標的遺伝子の同定に到達することができた。以上の結果から、おおむね順調に成果が得られつつあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. SorafenibとIFNの併用療法についての検討(in vitro):H25年度までの結果より、肝癌細胞に対するSorafenibあるいはIFNの抗腫瘍効果が、HDGFの発現抑制によって増強することが判明した。以前われわれはビタミンK2がHDGFの発現抑制効果を有することを報告しており、ビタミンK2の併用によってSorafenibあるいはIFNの抗腫瘍効果が増強されるのか検討を行う。 2. SorafenibとIFNの併用療法についての検討(in vivo):引き続きXenograft modelを作成し、SorafenibあるいはIFN投与によるHDGF発現の変化を比較する。臨床応用を見据えてIFNの種類による治療効果の相違の有無を検討する。またSorafenibおよびIFNの投与によって生じる組織学的変化についても引き続き検討を行う。 3. SorafenibおよびIFNの標的遺伝子の同定と、その肝癌細胞増殖促進効果の検討 (in vitro):H25年までのDNAチップの検討によりSorafenibまたはIFN投与による標的遺伝子候補が同定された。その中には液性因子も含まれており、その肝癌細胞増殖におよぼす効果について検証する。 4. SorafenibおよびIFNの標的遺伝子の同定と、その肝癌細胞増殖促進効果の検討(in vivo): 上記のSorafenibおよびIFN投与によって発現が変化した因子について、過剰発現および発現抑制を行い、 in vivoでの肝癌細胞増殖への効果についての検討も行う。また上記③で同定された因子についての in vivoでの抗腫瘍効果の検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の重要な位置を占めるDNAチップとPathway解析を、予定より少ない費用で行うことができた。また出版論文の別刷購入は雑誌によっては極めて高額となるが、幸い本年度の論文に関しては予定より少ない費用で済んだ。 当初から予定している in vitro, in vivoの実験に加え、学会出張や論文出版に関連した費用への出費、また論文作成に必要な物品の購入などに使用する予定である。特に論文発表においては結果の明瞭化のためにカラーの図表を使用する、あるいは広く結果を公開するためにオープン・アクセス化するといったことが望まれるが、これらに関する費用は本年度と異なり、多額が見込まれる。
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Research Products
(6 results)