2013 Fiscal Year Research-status Report
2種類の次世代高速シーケンサーを用いたB型肝炎慢性化阻止法の開発
Project/Area Number |
24591002
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 清顕 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50551420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 真也 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20612427)
溝上 雅史 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40166038)
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Keywords | B型急性肝炎 / 慢性化 / ジェノタイプ / B型慢性肝炎 / 次世代シーケンサー / 遺伝子変異 / HLA |
Research Abstract |
我々は、これまでの多施設共同研究により本邦のB 型急性肝炎において、欧米型であるgenotype A の占める割合が年々増加していることを明らかにしてきた。また、Genotype A による成人のB 型急性肝炎においては、他のgenotype で慢性化率1%以下と低率なのに対して、7-8%が慢性化することを明らかにした(Ito K et al. 2014 Hepatlogy)。続いて実施したB型慢性肝炎の全国調査の結果によると、B型慢性肝炎におけるgenotype Aの割合が、2000~2001年の調査では1.7%、2005~2006年には3.5%であったのに対して、2010~2011年には4.1%に増加していた。このように他のgenotype と比較して慢性化しやすいgenotype A の増加は、B型肝炎ウイルスによる成人初感染後の肝硬変、肝癌の難治性疾患の増加を引き起こすため対策が重要である。本研究では、ウイルス側と宿主側の双方からのアプローチにより、genotype A による急性肝炎の慢性化成立機序を明らかにし、今後の慢性化予防、新規治療薬開発の基礎とすることを目的として研究を施行した。 慢性化に関与する宿主側の要因としては、既報のB 型慢性肝炎に関わるHLA-DP locus (KamataniY. et al., Nat Genet, 2009) および HLA-DQ locus(Mbarek H, et al. Hum Mol Genet 2011) に存在するSNPs を用いることにより、成人におけるgenotype A による急性肝炎の慢性化との関連を調査したが、現在のところ慢性化との関連は認められなかった。 ウイルス側の要因として、B型急性肝炎発症後のHBs抗原陽性期からHBs抗原陰性期にかけてのシリーズ血清を用いてlong read typeの次世代シーケンサーを使用して解析を行った。その結果、HBs抗原が消失する時期に一時的に特徴的な変異の出現を認め、慢性化への関与が疑われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの全国規模での他施設共同研究により、成人のB 型急性肝炎症例1088 例(1988 年~2011 年)の収集を終了した。また、B型慢性肝炎においても4,000例程度の症例の収集を終了した。 宿主側要因に関しては、genotype AによるB型急性肝炎のgenome 81例に関してHLA-DPの解析を終了した。Genotype AによるB型慢性肝炎症例に関しては、80症例のgenome収集を終了した。今後さらにgenomeの収集を進めていき、順次解析を行っていく予定である。 これまでにB型急性肝炎の感染初期のシリーズ血清を用いてウイルス側の因子をlong read typeの次世代シーケンサーを用いて解析を行った結果、HBs抗原消失の時期にpreS1 regionに遺伝子変異を認め、preS1の途中でstop codonとなる変異がmajor cloneとなる特徴的な現象を認めた。PreS1がstop codonになることによりHBsAgの分泌が低下することがこれまでの基礎実験から知られており、この特徴的な現象がB型急性肝炎の経過中のHBsAg消失に関与した可能性が示唆された。 以上のようにlong read typeの次世代シーケンサーを用いたウイルス側要因の解析に関しては特徴的な結果を得ることができ、今後さらに症例を増やして解析を行う予定である。また、宿主側の要因を解析するための症例の蓄積も進んでおり、おおむね予定通り研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もGenotype AによるB型急性肝炎の慢性化に関連する因子をウイルス側と宿主側の双方からアプローチを続ける。ウイルス側の要因に関しては、さらに数症例のシリーズ血清を対象としてlong read typeの次世代シーケンサーによる解析を進める。 また、宿主側の因子に関しては、B型慢性肝炎症例に関してもHLA-DP領域の解析を進め、可能であればSNP arrayによるgenome-wide association studyを進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後も症例収集を進めるためのDNA抽出や保存に関する消耗品代が必要である。B型急性肝炎のシリーズ血清のlong read typeの次世代シーケンサーを使用して解析を進めるために消耗品代が必要である。 B型慢性肝炎のgenome解析に用いるHLA-DP解析に用いるための試薬代、genome-wide association studyに用いるためのSNP array plate等の消耗品代として使用する。また、これらの研究を施行するうえでの研究補助員の人件費代としても使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Risk factors for long-term persistence of serum hepatitis B surface antigen following acute hepatitis B virus infection in Japanese adults.2014
Author(s)
Ito K, Yotsuyanagi H, Yatsuhashi H, Krino Y, Takikawa Y, Saito T, Arase Y, Imazeki F, Kurosaki M, Umemura T, Ichida T, Toyoda H, Yoneda M, Mita E, Yamamoto K, Michitaka K, Meshiro T, Tanuma J, Tanaka Y, Sugiyama M, Murata K, Masaki N, Mizokami M
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Journal Title
Hepatology
Volume: 59(1)
Pages: 89-97
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] High Levels of Hepatitis B Virus After the Onset of DiseaseLead to Chronic Infection in Patients With Acute Hepatitis B.2013
Author(s)
Yotsuyanagi H, Ito K, Yamada N, Takahashi H, Okuse C, Yasuda K, Suzuki M, Moriya K, Mizokami M, Miyakawa Y, Koike K
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Journal Title
Clin Infest Dis
Volume: 57(7)
Pages: 935-42
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Serum A"sweet-doughnut" protein facilitates fibrosis evaluation and therapy assessment in patients with hepatitis.2013
Author(s)
Kuno A, Ikehara Y, Tanaka Y, Ito K, Matsuda A, Sekiya S, Hige S, Sakamoto M, Kage M, Mizokami M, Narimatsu H
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 3
Pages: 1065
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Risk factors for long-term persistence of serum hepatitis B surface antigen following acute hepatitis B virus infection in Japanese adults.2013
Author(s)
Ito K, Yotsuyanagi H, Yatsuhashi H, Krino Y, Takikawa Y, Saito T, Arase Y, Imazeki F, Kurosaki M, Umemura T, Ichida T, Toyoda H, Yoneda M, Mita E, Yamamoto K, Michitaka K, Meshiro T, Tanuma J, Tanaka Y, Sugiyama M, Murata K, Masaki N, Mizokami M
Organizer
The 64th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Diseases
Place of Presentation
Washington DC, USA
Year and Date
20131101-20131105
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