2013 Fiscal Year Research-status Report
脂質応答性転写因子の抗線維化作用の解析と新規治療薬の探索-低酸素性腎障害を中心に
Project/Area Number |
24591193
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
木村 秀樹 福井大学, 医学部附属病院, 准教授 (20283187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
菅谷 健 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 客員教授 (40381561)
糟野 健司 福井大学, 医学部, 准教授 (60455243)
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Keywords | 進行性腎障害 / 尿細管上皮細胞 / L-FABP / PPAR / 抗線維化作用 |
Research Abstract |
1)腎固有細胞を用いた実験 FABP-mProxは、HNF-4aの発現が増加し、標的遺伝子であるPPARa、マウスL-FABPの発現も増加していた。FABP-mProxはmProxに比して、基底状態でPAI-1, TGF-b, VEGF-C, MCP-1のmRNA発現が有意に低下し、TNF-α刺激でのMCP-1発現も有意に低値であった。ヒトメサンギウム細胞において、PPAR-dの活性化はTGF-b誘導性のERK経路を介するPAI-1, 4型コラーゲン、CTGFの発現を抑制し、ARBであるテルミサルタンもPPARdの活性化を介して同様の作用を示した。PPARの線維化抑制作用を確認できた。 2)マウス実験 通常飼育の12、24ヶ月齢で、PPAR-α欠損マウス(KO)は対照S129マウスに比して有意に高度の心筋線維化を認めた。一方、6、9ヶ月齢では両群で心筋線維化に有意差はなかった。低酸素飼育では、6ヶ月間飼育(9ヶ月齢)のKOマウスで心筋線維化が有意に高度で、3ヶ月間飼育(6ヶ月齢)では両群に有意差はなかった。腎線維化については、何れの飼育においても両群に有意差を認めなかった。2ヶ月齢の両マウス群に、ドキソルビシン(10mg/kg)(2週間間隔で2回静注)を投与したところ、投与後5~7週で、KO群で有意に蛋白尿(g/Cr)が高度であった。7週後の心筋重量と心筋線維化はKO群で有意に高度で、腎組織の糸球体硬化、間質線維化も同様にKO群で有意に高度であった。L-FABP過剰発現マウスと腎VHL欠損マウスの供与が事情で困難になったため、組織特異的なPPAR-d欠損マウスを作製し、PPAR機能を解析することとした。PPAR-d-loxPマウス(ヘテロ接合体;B6)を入手し、現在飼育中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの近位尿細管細胞の細胞株mProxとヒトL-FABP過剰発現のFABP-mProxに関する実験はやや遅れているが、ヒトメサンギウム細胞の実験を追加しPPAR機能の解析を進めることができた。PPAR-a欠損マウスの実験を大幅に拡げているが、L-FABP発現マウスと腎VHL欠損マウスが譲渡困難な状況であるため、全体的には、予定の実験はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
FABP-mProxでは、mProxに比して、炎症やストレスに対抗する作用が強い可能性があり、ドキソルビシンや酸化ストレスを付加後、細胞障害度を比較する。PPAR活性化薬が細胞障害を軽減するか否かを検討する。ヒト尿細管細胞でも同様に解析を進める。 ドキソルビシンによる心筋・腎障害は、PPAR-α欠損マウスで高度になる可能性が確認できた。しかし、腎線維化度は両群ともに強いため、ドキソルビシンの用量調節をして群間差が明確に見出せる領域を検討する。また、同実験系でPPAR活性化薬の腎線維化への抑制作用を検討し、低酸素飼育で蛋白尿と線維化が増悪するか否かも検討する。さらに、PPAR-dの組織特異的欠損マウスを作製する準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
見積もり額よりも納入価格が偶然安くなり、小額の差額が生じた。 次年度の研究に使用する。
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