2012 Fiscal Year Research-status Report
腹膜線維症の再生治療における中皮細胞移植療法の確立
Project/Area Number |
24591240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
関口 嘉 順天堂大学, 医学部, 助教 (50599892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 千江子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50291662)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中皮細胞 / 細胞移植 / 被嚢性腹膜硬化症 / 腹膜線維化 / 腹膜傷害 / 腹膜透析 |
Research Abstract |
1)ラット腹膜線維症モデルの確立:様々な既報の動物モデルは急性の腹膜傷害モデルが多く、ヒト腹膜透析患者の場合は腹膜透析液に伴う慢性的な軽微な炎症の持続による腹膜傷害であるため組織学的変化が異なる可能性があった。持続シリンジポンプを使用することで慢性の腹膜傷害モデルを作成した。 2)腹膜傷害モデルへの中皮細胞の移植時期の検討:既報における細胞レベルの検討では、高炎症下では中皮細胞は線維芽細胞に形質転換を起こす、あるいはTGF-βなどのサイトカインの分泌を促すことが確認されている。そこで、当科で確立した温度感受性の中皮細胞を用い、腹膜傷害動物モデルの高炎症環境下である、またはそうではない腹腔内での移植した細胞自身の働き、腹膜傷害の治療効果について検討した。高炎症下では、腹腔内はTGF-βの発現が高く、その環境下に腹膜中皮細胞を移植した場合、腹膜傷害が増悪することが確認された。移植中皮細胞は蛍光顕微鏡でαSMAの沈着を認め、線維芽細胞に形質転換していることが確認された。また、Realtime-PCRで、Snail、B-Raf、ERK1などRAS/MAPK経路の関与が示された。次に、炎症改善後、腹腔内のTGF-βの発現が低減した環境下で腹膜中皮細胞を移植した場合、腹膜傷害は改善される傾向を示しえた。 3)初代培養中皮細胞を用いた動物モデルへの移植の検討:当科で確立した温度感受性の中皮細胞はラットの腹腔内では38度以上であることから、増殖せず移植した細胞自身を観察することができた。次に、増殖能のある通常の初代培養中皮細胞を用いて、同じ条件で移植を行い腹膜傷害を評価している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)移植した細胞自身の観察、及び傷害腹膜への影響について確認できた。 2)今後の臨床研究に向けて、増殖能のある初代培養中皮細胞を用いた腹膜傷害モデルへの移植を検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までの結果から、傷害腹膜への移植中皮細胞の治療効果については、移植時期の重要性が確認された。次年度は、同じ条件で増殖能のある初代培養中皮細胞を用いての追加実験を行い、臨床研究に向けて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費については、実験動物モデルであるラット、持続シリンジポンプなど腹膜傷害モデルを作成するものに充てる。PCRや組織染色の抗体にも充てるが、これまでの購入により、不足しているものは少ないと考える。旅費については、国内学会(腎臓学会・透析学会・腹膜透析学会)、国際学会(EDTA、ISPD)への参加・発表を予定している。
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