2012 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-I関連脊髄症発症に関与する細胞内骨格再構成シグナル伝達機構の解明
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24591267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 龍文 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00198219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 英樹 長崎大学, 大学病院, 講師 (10437832)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HTLV-I関連脊髄症 / HTLV-I / 細胞内骨格再構成 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は混合培養系を用いて、HTLV-Iの感染効率を指標としたアッセイ系において検討を行った。HTLV-I感染T細胞株としては、HTLV-I感染効率のいいHAM患者由来HCT-5を、対照株としては感染効率が悪いHTLV-Iキャリアー由来TL-Suを用いた。非感染細胞株としてはH9/K30 luc細胞(H9細胞にLTRの下流にluciferase遺伝子を繋いだプラスミドが組み込まれている細胞)を用いた。(結果) 1) Latrunculin BでHCT-5を処理すると有意に感染効率が低下した。2) actin polymerizationはリン酸化heat shock protein27によって促進される。そこで、HCT-5とTL-Suで比較検討を行ったところ、本タンパクの発現には差はみられなかった。3)一方、VSAPのリン酸化について、HCT-5とTL-Suで比較検討を行ったところ、後者においてVASPのリン酸化が強くみられた。VASPのリン酸化は細胞内cAMP濃度によって制御されているが、4) 両者の細胞株で、その濃度の比較検討をおこなったところ、HCT-5ではTL-Suに比較して有意に低値であることが明らかにされた。そこで、5) ForskolinによってHCT-5を前処理し、感染効率を検討したところ、細胞内cAMP濃度の上昇と共に有意にその効率が低下した。(まとめ)HAM患者由来株における効率のいいHTLV-I感染伝播の一因として細胞内cAMP濃度を低く設定し,VASPのリン酸化を制御することによって惹起されるactin polymerizationの関与が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTLV-Iの細胞間伝播にactin polymerizationを制御している細胞内cAMP濃度が関与していることを明らかにし、HAM発症に関わる一つの候補分子が示された。しかし、本年度内にこの分子とHTLV-I感染細胞の組織浸潤能との関係については明らかにすることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は上記に述べたように、cAMPとHTLV-I感染細胞の組織浸潤能との関係を解析すると共に、形態学的にも、actin polymerizationとの関係を明らかにしていく。さらに、HTLV-I感染細胞株での解析成果を、末梢血レベルでの解析に展開させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はHAM発症に関与する細胞内骨格再構成シグナル伝達機構の解明に向けてHTLV-Iの細胞間伝播の角度からHTLV-I感染細胞株を用いて解析を行った。平成25年度は得られた結果をもとに、HAM患者末梢血を用いて研究を展開させる。同時にHAM患者HTLV-I感染細胞の組織浸潤能の角度から、HTLV-I感染細胞株を用いて、Migration assay系を用いて、計画書に記載した通りそこに関与する細胞内骨格再構成シグナル分子の解明へ向けた研究を行う。
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