2012 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリン4抗体陰性視神経脊髄炎の診断および治療法開発に関する研究
Project/Area Number |
24591285
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
荒浪 利昌 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所免疫研究部, 室長 (60435724)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経病態免疫学 / 視神経脊髄炎 / アクアポリン4 / 自己抗体 |
Research Abstract |
【目的】視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica, NMO)は視神経と脊髄が冒される中枢神経疾患である。従来は多発性硬化症(MS)の一病型と考えられていたが、近年NMO患者特異的な血中自己抗体抗アクアポリン4(抗AQP4抗体)が発見されて以来、MSとは異なる病態であると考えられている。我々は最近、NMOにおいてB細胞亜分画プラズマブラスト(Plasmablast, PB)が増加し、末梢血中の主要な抗AQP4抗体産生細胞であることを報告した。 NMOでは、多くの患者において抗AQP4抗体が陽性であるが、抗AQP4抗体陰性の一群の患者(seronegative NMO, SNNMO)が存在する。SNNMOには特異的なバイオマーカーが存在しないため、その診断は臨床診断のみに頼らざるを得ない。本研究においては、SNNMO病態におけるB細胞および液性免疫の関与を明らかにし、SNNMO血中自己抗体およびその標的分子の同定と特異的治療法の検討を行うことを目的とする。 【方法】年齢・性別のマッチした抗AQP4抗体陽性患者39人、SNNMO患者10人、MS患者17人、健常人20人を対象として末梢血および患者髄液中のPBの割合をフローサイトメトリーで解析した。 【結果】抗AQP4抗体陽性患者のみならず、抗AQP4抗体陰性NMO患者においてもRRMS患者や健常人と比較して末梢血中のPBの割合が増加していた(p<0.05)。また、NMO患者では髄液中にPBの増加を認めたが、RRMS患者では認めなかった. 【考察】SNNMO患者におけるPBの増加は抗AQP4抗体に依らない病態分類の指標となりうる。SNNMOにおいてもPBが何らかの自己抗体を産生し、病態形成に関与している可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、SNNMO病態におけるPBの関与を明らかにする必要がある。その意味において、一定数のSNNMO患者末梢血中のB細胞に占める、PBの割合が、抗AQP4抗体陽性NMOと同様、MS或いは健常者と比べて増加していることが明らかとなった。これは、今年度の研究計画の重要部分であり、予定症例数には若干届かなかったものの、まとまった数のSNNMO患者データを解析することができた。この意味で、本研究は概ね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SNNMO自己抗体の有無を解析する。NMOにおいては、抗AQP4抗体が正常ヒトアストロサイト(NHA)に対して、細胞障害活性を有し、病態形成に重要な役割を果たすと考えられている。現在は予備実験の段階であるが、少数例のSNNMO血清が、NHAに対して細胞障害活性を持つという結果を得ており、想定された結果を得てはいる。しかし、症例数を増やした際に、SNNMO血清がNHAに対して細胞障害活性を示さなかった場合、補体依存性細胞障害活性が無く、それでもNHAに対する結合活性を有する可能性はあるので、NHAとSNNMO血清を反応させた後、2次抗体として蛍光標識抗ヒトIgG抗体を反応させ、SNNMO血清がNHAに結合しているか否かをフローサイトメトリーで検討することも行う。 また、一方で、NHAよりcDNAライブラリを作成し、それをCHO細胞に導入し、NHA由来の導入遺伝子産物を発現したCHO細胞を、SNNMO血清と反応させ、血清中の抗体が結合したCHO細胞をセルソーティングし、インビトロで増殖させる。この手法により、自己抗体の標的抗原を同定するという手法も、前記の細胞障害活性試験と平行して行い、自己抗原および自己抗体の同定研究の促進を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SNNMO自己抗体の有無を解析する。細胞障害活性およびフローサイトメトリー、さらには免疫組織化学染色を用いた解析を行うことを考えている。そのため、細胞障害活性試験で用いる抗体および血清、さらにフローサイトメトリー解析で用いる蛍光標識抗体、免疫組織化学染色で用いるラット脊髄切片に研究費を使用する予定である。CHO細胞の遺伝子導入も行い、研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)