2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞骨格制御による肥満・メタボリックシンドローム治療の基礎的基盤の確立
Project/Area Number |
24591333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
阪上 浩 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60372645)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 |
Research Abstract |
(1)糖輸送担体GLUT4のインスリン依存性細胞膜へトランスロケーションにおけるsynucleinと細胞骨格との相互作用の生理的意義の解明 インスリンシグナルは最終的に、糖輸送担体GLUT4 の特異的な小胞輸送機構に伝達されるが、GLUT4 小胞は核周囲の微小管(microtubule)構造により格納されており、さらにインスリン依存性の細胞膜へのGlut4の移動にも微小管(microtubule)が関与している。申請者が見出した新たなsynucleinアイソフォームはactin filament ではなくmicrotubuleと結合しおり、さらに糖輸送担体GLUT4とmicrotubule上で共局在していることが判明した。さらにsynucleinを過剰発現させた培養脂肪細胞並びにsynucleinノックダウンした脂肪細胞を用いて、GLUT4 小胞の細胞内輸送機序におけるsynucleinの生理的役割を、微小管沈降アッセイ、GLUT4 蛍光抗体染色法、HA-GLUT4 染色、2 -DOG 取り込み実験を用いて、microtubule 並びにGLUT4と相互作用の観点から明らかとした。 (2) 高脂肪食給餌および過食誘導synucleinノックアウトマウスの解析 申請者が作製したsynucleinノックアウトマウスにおいて、① 糖負荷試験、インスリン感受性試験などの各種負荷試験及び代謝ケージを用いたエネルギー消費量測定試験の実施、② 脂肪組織における各種シグナル伝達分子の活性化の検討、③ 糖・脂質代謝に関わる各種遺伝子発現変化の検討(DNAマイクロアレイ解析)、④ 各種アディポサイトカインの濃度変化の有無等の解析を高脂肪食給餌にて行い、肥満発症時のエネルギー代謝調節や肥満病態形成における脂肪細胞でのsynucleinの生理的機能を明とらかした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目標は、申請者が新たに見出した微小管(microtubule)結合蛋白synuclinによる脂肪細胞肥大化の制御機構を明らかとし、synuclinによる糖代謝制御機構を治療標的とした小分子化合物などの創薬や医療への応用における基盤確立にある。このためsynuclinノックアウトマウスの解析や細胞骨格との結合様式の解析を通じてsynuclinによる糖代謝制御機構を明らかとした。以上のことから当初の計画通り順調に研究は進行しているが、脂肪細胞特異的にsynucleinを発現するトランスジェニックマウスは未だ確立されておらず、その点はさらに研究をすすめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、以下の5項目に対して研究を進める。 (1)synucleinの脂肪細胞特異的トランスジェニックマウスを作製、(2)脂肪細胞特異的synucleinトランスジェニックマウスの解析と糖代謝関連標的分子の同定、(3)synucleinプロモータ領域のエピゲノム解析、(4)microtubuleと結合に必要なsynucleinの結合部位の同定、(5)synuclein結合蛋白複合体の同定 さらに以上の検討に加え、synuclinの微小管(microtubule)との結合阻害ペプチドの肥満モデルマウスへの投与によって、阻害薬開発の可能性を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(12 results)