2013 Fiscal Year Research-status Report
グルカゴン分泌制御機構とその糖尿病薬による修飾メカニズムの解明
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24591343
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石原 寿光 日本大学, 医学部, 教授 (60361086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 賢 日本大学, 医学部, 助教 (70451614)
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Keywords | 膵ランゲルハンス島 / グルカゴン / インスリン / スルホニル尿素受容体 / スルホニル尿素薬 / DPP-4阻害薬 / メトホルミン |
Research Abstract |
スルホニル尿素受容体1型(SUR1)を発現するトランスジェニックマウスを作製するためのコンストラクトを構築し、細胞発現系を用いてその機能を検討し、予想される機能を有していることが確認された。トランスジェニックマウスの作製に進めていく。 膵α細胞を特徴づける転写因子Arxを薬剤誘導性に過剰発現する膵β細胞株MIN6細胞を作製した。過剰発現の時間を変化させて、効果を解析中である。また、MIN6細胞のサブクローンを解析する過程でArxを強く発現するクローンを得たので、解析しているところである。 2型糖尿病モデルであるGoto-Kakizaki (GK) ラットを用いて、残存膵β細胞量とグルカゴン分泌、SU薬の効果を検討した。8-12週齢のGK ラットでは、β細胞は30-50%残存しており、ブドウ糖負荷によるグルカゴン分泌は、大きくは影響されていないことが明らかとなった。 インスリンのみで治療中の患者にDPP-4阻害薬あるいはビグアナイド薬を追加した場合の血糖コントロール改善に伴うグルカゴン分泌の変化を検討した。解析も完了し、論文を投稿したところである。インスリン治療を開始している患者の多くは、膵β細胞障害が進行していると予想される。本研究に参加した患者においても、空腹時CPRから評価したβ細胞量の低下は、同程度の糖尿病罹病期間を有する患者よりも、進行していると考えられた。このような患者においても、DPP-4阻害薬の追加投与が、グルカゴン分泌を低下させることが明らかとなった。一方、ビグアナイド薬は、空腹時のグルカゴン分泌を増加させることが見出された。膵β細胞量の低下が進行していると予想される患者においても、抗糖尿病薬がグルカゴン分泌に変化を与えていることが示された結果であり、インスリン治療中の患者における併用経口薬の選択の根拠を提供する成績であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブプロジェクトによって、達成度が進んでいるものと遅れているものがあるが、全体としてはおおむね順調である。 グルカゴン作用に注目した血糖降下薬の作用を解明するサブプロジェクトについては、当初計画した臨床研究の半分以上を終了し、公表の準備を進めている。さらに、現在SU薬とDPP-4阻害薬のグルカゴン分泌に対する作用の違いについて、検討中である(UMIN000012262)。 膵α細胞におけるATP感受性カリウムチャネルのグルカゴン分泌制御における役割を検証するサブプロジェクトは、進行に遅れが出ている。丁寧に一段一段進行を確実にしながら進める必要があるため遅れているが、スルホニル尿素受容体1型(SUR1)を発現するトランスジェニックマウスを作製するためのコンストラクトの機能を確認することができており、少しずつではあるが確実に進行しているので、継続して進めていく。 膵α細胞におけるアミノ酸およびグルコース代謝調節の特徴を解明するサブプロジェクトは、おおむね順調に進行している。Arxを強く発現するクローンにおけるDNAマイクロアレイの結果を解析中であり、抽出された遺伝子について、検討している。抽出された遺伝子を効率的に解析する手法も構築しつつあるので、勢力的に進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
グルカゴン作用に注目した血糖降下薬の作用を解明するサブプロジェクトについては、現在進行中のSU薬とDPP-4阻害薬のグルカゴン分泌に対する作用の違いについての臨床研究(UMIN000012262)を進め、解析をおこなっていく。前回施行した研究(000008155)において、ミール負荷試験等施行におけるノウハウも蓄積されてきたので、勢力的に進めていく。ラットあるいはマウスを用いたSU薬のグルカゴン分泌への影響については、膵β細胞の破壊の進行が高度であるモデルマウス等を用いて検討していく。 膵α細胞におけるATP感受性カリウムチャネルのグルカゴン分泌制御における役割を検証するサブプロジェクトでは、トランスジェニックマウスの作製に進行する。また、SUR1ノックアウトマウスにおいて、β細胞をストレプトゾトシンで破壊することにより、β細胞の影響を取り除いた条件での解析を行っていく。 膵α細胞におけるアミノ酸およびグルコース代謝調節の特徴を解明するサブプロジェクトでは、Arxを強く発現するクローンにおける特徴づけを進めていく。DNAマイクロアレイ等で抽出された遺伝子について、過剰発現やshRNAによる発現抑制を用いて、勢力的に進めていく。
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[Journal Article] Clinical experiences in the treatment of pancreatic arteriovenous malformation by total pancreatectomy with islet autotransplantation.2013
Author(s)
Sakata N, Goto M, Motoi F, Hayashi H, Nakagawa K, Mizuma M, Yamaya H, Hasegawa Y, Yamaguchi S, Sawada S, Ottomo S, Okada T, Fukase K, Yoshida H, Ito T, Hirota M, Ishigaki Y, Sekiguchi S, Rikiyama T, Katayose Y, Fujimori K, Egawa S, Shimosegawa T, Katagiri H, Satomi S, Unno M.
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Journal Title
Transplantation
Volume: 96
Pages: e38-40
DOI
Peer Reviewed
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