2012 Fiscal Year Research-status Report
マントル細胞リンパ腫モデルマウスを用いた腫瘍クローンの階層性と微小免疫環境の解明
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24591391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
錦織 桃子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60378635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / Cyclin D1 / BCL2 |
Research Abstract |
ヒトのB細胞リンパ腫では特定の染色体転座と組織型との間に密接な関わりがあることが知られているが、遺伝子異常の一つにすぎない染色体転座がどのようにその後生じるリンパ腫の組織型に影響を及ぼすのかについては、これまで明らかにされていない。 申請者はCyclin D1もしくはBCL2遺伝子の高発現状態でp53欠損下に遺伝子異常が蓄積しB細胞リンパ腫を発症するマウスモデルを作出し、悪性リンパ腫の病型決定のメカニズムの解明をめざす研究に取り組んでいる。これらのマウスで発症するリンパ腫は、組織学的・形質学的解析により、それぞれCyclin D1およびBCL2転座をもつヒトのマントル細胞リンパ腫および胚中心型B細胞リンパ腫をよく模倣すると考えられた。さらに、腫瘍B細胞の免疫グロブリン遺伝子可変領域の遺伝子変異(somatic hypermutation)の解析や、表面形質の追加解析により、両マウスにおける腫瘍細胞の再現性を持った特徴的性状は、それぞれ異なるB細胞群が起源であるために生じることが強く疑われた。そこで、ヒトのリンパ腫においても同様のメカニズムで各病型が生じているかを明らかにするための解析を進めている。 また、Cyclin D1マウスに形成されるマントル細胞リンパ腫を模倣するB細胞腫瘍は、同系野生型マウスに継代接種可能である。本実験系では免疫系が保たれたマウスで腫瘍を再現できる利点があり、2次移植マウスを用いて、化学療法投与による腫瘍細胞や腫瘍微小環境における変化について比較解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの悪性リンパ腫モデルの実験系を用いて、当初の計画通り、組織型の決定機構や腫瘍微小環境に関する実験を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
悪性リンパ腫のマウスモデルを用いて、腫瘍細胞における階層性やクローン構成、腫瘍微小環境を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、マウス購入・飼育費、フローサイトメトリー抗体や遺伝子解析に必要な試薬等、消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)