2013 Fiscal Year Research-status Report
小児期における消化管粘膜免疫機構の解析と消化器疾患の病態の解明
Project/Area Number |
24591585
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90338335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
鈴木 竜洋 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70420859)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 消化管アレルギー / 好酸球性胃腸症 / リンパ濾胞増殖症 / 炎症性シグナル分子 / CXCL13 / CXCR-3関連分子 / CCL11 |
Research Abstract |
新生児および乳児期から幼児期にかけ、消化機能、バリアー機能、腸内細菌叢の変化などにともない、粘膜免疫機能にダイナミックな変化が起こっている。そこで、リンパ濾胞増殖症、消化管アレルギー、食物過敏性腸症、潰瘍性大腸炎、クローン病等の小児消化器疾 患および正常対照群を対象とし、それら粘膜における炎症性シグナル分子の発現をmicroarray法, real-time PCR法, 免疫組織染色法などを用い解析し、新生児期から乳幼児期および学童期にかけての消化管粘膜免疫機構の発達について検討した。 その結果、新生児期の消化管アレルギー患児の粘膜において、CCL11(eotaxin-1)やCXCL-13の発現亢進を認めた。特に好酸球浸潤と関連の深いCCL11の発現は新生児期に、リンパ濾胞増殖因子であるCXCL13の発現は乳児期により強く発現しており、新生児期のより重篤な好酸球浸潤と乳児期のより強いリンパ濾胞増殖性変化を反映していた。 一方、学童期の炎症性腸疾患の粘膜を用いた検討では、IFN-gamma, IL-6, IL-8, STAT4, GATA3, CCR7、CXCL-9, -10, -11, -13などの発現亢進を確認した。特にクローン病ではCXCL-9, -10, -11が、潰瘍性大腸炎ではMMP-7, -3, -10の発現が、それぞれ有意に亢進していた。免疫組織染色による検討では、いずれにおいてもCXCL-9とCXCR-3の病変部局所での発現亢進を確認した。以上より、小児期発症の炎症性腸疾患においては、リンパ濾胞形成因子であるCXCL-13、炎症性ケモカインであるCXCL-9およびCXCR-3関連分子などの発現が重要な因子であることが示唆された。 これらの研究より、小児期の粘膜免疫機構の発達とCXCL-13およびCXCR-3関連分子などの炎症性分子の発現が疾患発症や重症度に深く関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ濾胞増殖症、消化管アレルギー、食物過敏性腸症、潰瘍性大腸炎、クローン病等の小児消化器疾患および正常対照群を対象とし、それら粘膜における炎症性シグナル分子の発現をmicroarray法, real-time PCR法, 免疫組織染色法などを用い解析し、新生児期から乳幼児期および学童期にかけての消化管粘膜免疫機構の発達について検討した。 その結果、新生児期の消化管アレルギー患児の粘膜において、CCL11(eotaxin-1)やCXCL-13の発現亢進を認めた。一方、学童期の炎症性腸疾患の粘膜を用いた検討では、IFN-gamma, IL-6, IL-8, STAT4, GATA3, CCR7、CXCL-9, -10, -11, -13などの発現亢進を確認した。特にクローン病ではCXCL-9, -10, -11が、潰瘍性大腸炎ではMMP-7, -3, -10の発現が、それぞれ有意に亢進していた。免疫組織染色による検討では、いずれにおいてもCXCL-9とCXCR-3の病変部局所での発現亢進を確認した。これらの研究より、小児期の粘膜免疫機構の発達とCXCL-13およびCXCR-3関連分子などの炎症性分子の発現が疾患発症や重症度に深く関わっていることが示唆された。 以上の検討は、日本小児アレルギー学会や米国小児科学会(2013 Pediatric Academic Society)などで発表しており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの検討で、リンパ濾胞増殖症、消化管アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病等を対象としたが、正常対照群との年齢のばらつきがあったことは否定できない。本年度は、それら疾患の症例数を増やす一方、好酸球性食道炎や食物過敏性腸症など、対象疾患を広げると同時に、各年齢の正常対照を増やし、粘膜における炎症性シグナル分子の発現をmicroarray法, real-time PCR法, 免疫組織染色法などを用い解析を進める予定である。特に、microarrayで得られた結果を基に、さらに検証を加え、新たに注目すべき分子が出現する可能性もあり、その新たな分子に対してもreal-time PCR法や免疫組織染色を行い、より詳細な検討を進める予定である。 また、ターゲットとなる分子を抽出できた際には、それぞれの分子の役割を炎症性腸疾患モデルマウスなどを用い、その役割を検証して行く予定である。 また、得られた結果は、積極的に学会等で報告して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年は、概ね予定通りの研究を遂行できているが、購入予定の試薬等に、多少の余裕があり、結果、支出額が申請額を19,342円下回る結果となった。 19,342円に関しては、本年度の研究費のうち、試薬の購入費用などに充てる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Antigen-specific T-cell responses in patients with non–IgE-mediated gastrointestinal food allergy are predominantly skewed to TH22013
Author(s)
Morita H, Nomura I, Orihara K, Yoshida K, Akasawa A, Tachimoto T, Ohtsuka Y, Namai Y, Futamura M, Shoda T, Matsuda A, Kamemura N, Kido H, Takahashi T, Ohya Y, Saito H, Matsumoto K.
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Journal Title
J Allergy Clin Immunol
Volume: 131
Pages: 590-592.e6
DOI
Peer Reviewed
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