2012 Fiscal Year Research-status Report
脳発達期の摂食リズムの乱れがもたらす視交叉上核リズムの変化と行動の異常
Project/Area Number |
24591602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂田 ひろみ 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50294666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 義浩 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50144168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 概日リズム / 摂食 / 明暗周期 / ラット / 脳発達 / 時計遺伝子 / 視交叉上核 |
Research Abstract |
本研究は、発達期の摂食リズムが仔の概日リズムや概日リズム調節機構の発達にどのような影響を与えるかについて明らかすることを目的としている。平成24年度は、乳仔期ラットにおいて哺乳時間(母獣との同居時間)を暗期のみ(12時間/日, D群)に制限した群と明期のみ(12時間/日, L群)に制限した群を作製し、両群でSCN、大脳皮質および肝臓における遺伝子発現リズムを比較した。その結果、 SCNにおけるPer1およびPer2の発現リズムは、両群において明期に高く、暗期に低いパターンを示した。大脳皮質におけるPer1およびPer2の発現リズムは群間で変化が見られなかった。Bmal1は振幅が小さいが、無処置群とD群で明期に低く暗期に高い傾向が見られるのに対し、L群では逆のリズムとなった。 肝臓ではD群ではPer1の発現は明期に高く暗期に低いのに対し、L群ではリズムが逆になっていた。また、L群とD群は哺乳・摂食可能時間数は等しいにもかかわらず制限開始直後から実験終了まで、明期摂食群の体重は暗期摂食群に対して高かったことから、明期の摂食の方が暗期の摂食よりも体重増加を起こしやすく、生じた体重差は成熟後も保たれることが明らかとなった。Home cage での活動量は両群とも暗期に高く、明期に低く、明暗周期に同調していたものの、L群で暗期の活動量が他の群と比較して著しく高かった。よって脳発達期における明期のみの摂食は生後の活動リズムには影響しないが、活動期の多動を誘発する可能性が示唆された。明暗周期を8時間前進させた後、D群では1日目に深部体温の頂点位相の有意な変化を認めたが、L群は6日目であった。よってL群では明暗周期の前進後、新しい周期への同調が遅れており、明暗周期同調機能に障害があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は研究計画に従って乳仔期摂食時間制限モデルラットを作製し、時計遺伝子および代謝関連遺伝子の発現リズムを概日リズム中枢である視交叉上核、および末梢時計である大脳皮質と肝臓において解析した。また、摂食時間制限開始時から成熟後までの体重変化、および成熟後の行動学的評価も行った。これらの成果は既に国内学会で報告しており、国際専門誌への投稿準備も進めている。また、乳仔期摂食時間制限モデルラットにおける概日リズム同調機構の異常についても現在解析中であり、概ね順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究実施計画に従い、恒常暗下(明暗周期の無い環境)で作製した乳仔期摂食時間制限モデルラット、および幼仔期(離乳直後~5週齢)作製し摂食時間制限モデルラットを用い、深部体温や時計遺伝子発現等の日内リズムの観察を行う。また、平成24年度の摂食時間制限は明暗周期と同調した条件であったので、明暗周期と摂食時間制限(母獣との同居/隔離)のタイミングをずらしたモデルを作製し、乳仔期の深部体温変化の特性が明暗周期と摂食周期のどちらにより影響されるかについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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