2013 Fiscal Year Research-status Report
尋常性天疱瘡抗体の結合による表皮細胞内でのシグナル発生機序の解明
Project/Area Number |
24591634
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 昌孝 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30306774)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327618)
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90212563)
|
Keywords | 国際情報交換 / 米国 / アトランタ / 天疱瘡 / 脂質ラフト |
Research Abstract |
尋常性天疱瘡抗体の結合による細胞内シグナル発生機序を解明するために必要となる尋常性天疱瘡患者血清の解析ならびに分類を引き続き行っている。すなわち、Dsg3分子に対してsteric hindranceを起こすことが予想される血清と、steric hindranceの作用は少ないものと予想され、かつより複数のエピトープを認識する抗体を含んだ血清に大きく分類している。一方で、Dsg3を始めとしたデスモゾーム関連蛋白と脂質ラフトとの関連性を調べた結果、ダイナミックなデスモゾーム形成と分解は、脂質ラフト依存性に生じることが示された。さらに、尋常性天疱瘡患者血清を培養ケラチノサイトに加えた際に細胞間で観察されるDsg3蛋白が含まれる線状の構造物も脂質ラフトマーカーと共局在することが示され、脂質ラフトが細胞内シグナリングのプラットフォームとして重要や役割を果たしていることを考慮すると、尋常性天疱瘡抗体の結合による細胞内シグナル発生は脂質ラフト上で生じている可能性がが示唆された。また、尋常性天疱瘡抗体は複数のDsg3分子を細胞膜上でクロスリンクすることによって、Dsg3分子のクラスターが形成されることがすでに示されており、結果としてプラットフォームとしての脂質ラフトのサイズも大きくなり、それがきっかけとなって細胞内シグナルが惹起されることが予想される。クラスターの形成と細胞内シグナルとの関係についてさらなる検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尋常性天疱瘡患者血清の集積ならびにエピトープ解析とそれに基づく分類は順調に進んでいる。また、デスモゾーム関連蛋白と細胞膜上の脂質ラフトとの関連についても、解析結果からデスモゾーム形成と分解が脂質ラフト依存性であることが示された。一方で、尋常性天疱瘡抗体の結合によって生じる細胞内シグナルの詳細なカスケードの解析ならびに検討までには至っていない。以上より、当初の研究の目的を達成するための計画にはやや遅れているものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
尋常性天疱瘡患者血清の集積と解析ならびに分類は今後も継続する。さらに、尋常性天疱瘡における細胞内シグナル発生機序と脂質ラフトとの関連性の有無を調べるために、p38MAPKを始めとした各種シグナル分子を対象にそれらの阻害剤などを用いて解析する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。 当初予定していたシグナル分子阻害剤を用いた解析の実施が遅れたため、平成25年度の研究費に未使用が生じたが、平成26年度に行う予定の研究計画とあわせて実施する。
|
Research Products
(1 results)