2013 Fiscal Year Research-status Report
表皮角化細胞における終末分化の分子機構の解明と皮膚癌に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
24591643
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
牧野 輝彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (90359711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 忠道 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (70260396)
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Keywords | profilaggrin / 表皮角化細胞 / 終末分化 / 角化 / 皮膚がん |
Research Abstract |
Profilaggrinは角化において中心的な役割を担う分子である。Ca2+-binding domainであるEF hand domainを含むprofilaggrinのN末領域は、角化の過程で核内に移行することが報告されている。我々はこれまでprofilaggrinのN末端領域(1-292aa)が細胞死を誘導することを見出した。本研究ではこれまでの研究を発展させ(1)profilaggrin N末領域の核内移行による終末分化の分子機構の解明と(2) profilaggrin N末端領域をもちいた皮膚癌に対する新規治療法の開発を試みた。 profilaggrinのN末領域と分化した表皮角化細胞の核内で結合する分子の同定をLC/MS/MS解析で試み、一つの分子を同定した。その分子をsiRNAにより表皮角化細胞内でノックダウンさせたところ、profilaggrinのN末領域により誘導される細胞死が著明に抑制された。現在その分子の皮膚における機能を解析している。 さらに表皮角化細胞の細胞死に関与するシグナル伝達系を同定するため、各種阻害薬を用いて、どの経路が主としてprofilaggrinのM\N末領域による細胞死に関与しているか検討した。その結果、この細胞死にはcaspaseの関与は低く、異なる経路を介して細胞死に至ることが示唆された。 さらに、profilaggrinのN末領域を約20アミノ酸からなるペプチドに分割し、細胞死を誘導しうるペプチドの検索したところ、非常に強い細胞死の誘導能を持つペプチドを同定した。今後このペプチドががん細胞に対していかに作用するかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、profilaggrinのN末領域が細胞死を誘導する際に関連しうる分子を同定でき、さらに細胞死に至るシグナル経路もおおむね決定できている。 さらに皮膚がんの新規治療法の開発において最も重要なペプチドも同定され、今後さらに詳細な実験へと進める準備がほぼ終了している。したがっておおむね順調に研究が進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
profilaggrinのN末領域が誘導する細胞死の機序に関してさらに詳細に検討する。さらにこのN末領域と関連する分子は、これまで皮膚における発現や機能の報告がない分子であり、本分子の皮膚における機能も解析する。 また、皮膚がんの新規治療法の開発においては、profilaggrin N末ペプチドを培養がん細胞やin vivoモデルに適用し、がん細胞の増殖抑制など治療効果を有するか検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね予算通りに試薬を中心に購入したが、プラスチック製品(細胞培養用ディッシュなど)の残があったため購入時期を検討していたところ3月末に購入が間に合わなかった。そのため、その分が次年度使用額となってしまった。 速やかにプラスチック製品の購入に使用する。
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