2012 Fiscal Year Annual Research Report
ErbB2導入マウスによる新規バレット腺癌モデルの確立と化学的発癌予防への応用
Project/Area Number |
24591956
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
北村 拓也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60404878)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 食道外科学 / 食道癌 / erbb2 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
本研究は、申請者の独自のモデル系であるBK5.erbB2マウスを用いて、1)erbB2の高発現と胆汁との相互作用が食道癌の発生に与える影響を明らかにするため、新規の胆汁誘発性食道癌マウスモデルを確立すること。2)バレット食道に対する治療薬剤あるいは癌化を予防する薬剤の評価における、申請者が提案する新規食道癌マウスモデルの有用性を検証すること。の2点を目的としている。本マウスは胆嚢内に乳頭状腺癌を高頻度で自然発生し、ヒト胆嚢癌モデルとして知られている。本マウスはウシケラチン5 プロモーターにより食道をはじめ、すべての扁平上皮基底層にerbB2を高発現しているのにもかかわらず、胆道以外での腫瘍発生はこれまで確認されていない。本研究では食道上皮においてもerbB2高発現と、胆汁の逆流.停滞による胆汁酸の暴露との相互作用が腫瘍発生率を高め悪性度を増強する、という仮説を立て、それを明らかにするため、本マウスをモデルとして検討した。本年度は、本マウスおよび野生型マウスに対し食道胃接合部-十二指腸吻合術による実験的逆流性食道炎モデル作成を行い、術後経時的に胆汁誘発性食道病変の病理学的および生化学的評価を行った。術後16週時点で、吻合部付近の扁平上皮組織におけるバレット食道様変化は本マウスおよび野生型マウスの両者に認められたが、dysplasia及び腺癌への組織変化は本マウスでのみ確認された。また、吻合部付近の扁平上皮組織において、バレット食道マーカーであるCDX2の高発現を認めた他に、p44/42 MAPKの活性化、癌幹細胞マーカータンパクの発現などがBK5.erbB2マウスで認められた。このことはerbB2の発現が、十二指腸内容物による逆流性食道炎モデルにおいて、バレット食道からdysplasia及び腺癌への進行に対して重要な役割を果たしていることが示唆する所見と考える。
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Research Products
(1 results)